出版社内容情報
日本と同時期に近代化を歩みはじめ、東南アジアで唯一独立を守ったタイ。時代に翻弄されながら生き残ったタイ民族一〇〇〇年の興亡史。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
14
20頁。現在では南詔がタイ族の支配する王国であったとの説は完全に否定されている。この王国の支配者はチベット・ビルマ語族のロロ族であると考えられている。26頁。現在のタイ族の領域で最初に現れた大国は、ドゥヴァーラヴァティーであったとされている。この国は7~11世紀にかけてタイ中部を中心に栄えたモン族の国家である。31頁。タイ領に関わる政治権力としてはドゥヴァーラヴァティー、シュリーヴィジャヤ、真臘、クメールなど多数の王国が存在していたが、ドゥヴァーラヴァティーを除いてその中心地は現在のタイ領の外にあった。 2017/02/02
NoControl
11
他の東南アジア諸国が植民地化するなか、幸運にもフランスとイギリスの緩衝国的な位置となり、かつ早急な諸制度の近代化によって独立を保ち、2回の世界大戦も巧みな外交戦略によって乗り切った国だと。近代以前のインドシナ半島成り行きを見ると、あの辺りの国が仲があまり良くないのもさもありなんという。現国王の代替わりはタイ現代史にとっても一大転機の一つだが、本書は2006年までの記述に留まっているので、増刷するならまた章が増えそうな予感。2019/12/07
Riopapa
11
二度ほどタイには行ったが、歴史を全く知らなかった。勉強すると、ますまづ面白くなりそうな国。出版から10年経っており、その後のことも知りたい。2018/09/04
Kazehikanai
10
インドシナで凌ぎを削る時代から、西欧諸国から唯一独立を守り通した近代を経て、戦後にいち早く経済発展の目処をつけたタイ。現代の政治体制は、繰り返されるクーデターで度々混乱し、政情は今もまだ不安定。そんなタイの歴史をさらっとおさらいできる良書。東南アジアは一国では語れない。文化、政治、歴史、どれもが近隣諸国と密接に重なりあっていることがわかった。面白かった。未完成の熱気溢れるタイの未来が楽しみになった。2020/06/06
OjohmbonX
8
タイはインドシナの他の国がみんな植民地になる中で独立を保って、第2次世界大戦でも日本に迫られて枢軸国になりながらも被害を最小限で留めた、というのは優れた面だけど、その結果で古い憲法(国会より君主優位)の建付けが残ったためにクーデターがなくならず民主化が定着していないのを見ると、不合理な判断を繰り返して大敗してアメリカに占領された一方で、君主より国会優位型の憲法に転換した結果、民主化が定着した日本と比べて、どっちが良かったんだろう、と複雑な気持ちになる。2020/08/24