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中公新書
数学する精神 - 正しさの創造、美しさの発見

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  • サイズ 新書判/ページ数 244p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121019127
  • NDC分類 410
  • Cコード C1241

出版社内容情報

数学とは絶対的に正しい「神の知」なのだろうか。人が創った数学における「美しさ」とはどういうことなのか。豊穣な数学世界への招待。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

57
最近、増補版が出版されたが、流石にこの本は名著だ。知・情・意すべてにおいて、心の底から充実感に満たされる。「数学の研究者には「美しさ」は「正しさ」よりも重大」と断言する著者の信念の下に「人間と数学」「記号と意味」「具体性と抽象性」など、とてもスリリングな議論が展開される。ただ、唯一の懸念は「コンピュータと人間」の項。「黙々と計算し続ける側は決して「パターン」に気付くことはない」としてコンピュータの限界を示しているが、昨今のディープ・ラーニング技術は、13年前の著者の認識を大きく塗り替えているように見える。2020/07/23

さきん

22
途中で一旦挫折というか疲れてしまった。数学の話なので、式と文章を行ったり来たりして読み進めるので疲れてしまうのだ。しかし、それでも疲れないように第何部、間奏曲とまるで歌劇のような構成で飽きさせない。数学との付き合いは今後も続けていく。2020/10/18

まろにしも

15
我々が経験的、知覚的に感じ取ることが出来る自然数。これがすべたかと思いきや、整数⇒有理数⇒無理数⇒虚数・・・と、果てしない広がりを持つ実数の世界がある。むしろ整数は実数全体の極めてレアケース。そこから想起したのがニュートンが明るみに引っ張り出した「空気抵抗」。知覚のみで判断する(分かったつもりでいる)ことは、実は恐ろしく非科学的な態度であり、ピタゴラス学派のようなショックを受けることになる。「数学をする」ことの主観性、芸術性、哲学性の雰囲気の一部を垣間見ることが出来た。この著者が好きになった。2022/04/10

Bartleby

12
数量として実感できる数学から、抽象化と記号化を経て形式化された数学へと飛躍するプロセスをうまく言語化してくれている。具体例が刺激的だった。「パスカルの三角形」の横列と「二項展開」が同じ、さらに組み合わせを表すnCrがパスカルの三角形のn行r列に対応することは比較的よく知られているが、それにとどまらずn行を負の数まで拡張しパスカルの半平面としたところからがぜん面白くなった。さらにこの半平面は、(1+x)^nの無限展開と対応関係にあることが示される(テイラー展開の一例)!2023/04/07

やまやま

12
人間と数学との関わりとして、枠組みの中での正しさという受動的な関係か、パターンの発見という積極な関係かを問い、また数学の具体的側面と抽象的側面について、数学自体の意味を語る。ゼノンのパラドックスは加藤先生の他の本でも引き合いに出されるが、無限小は「モデル」であることを感じると納得感が増す。「集合論と失楽園」では自己包含集合のパラドックスから、数学史への関心をいざなう。リーマンの直観、数式で書いたらやたら複雑になるものを「面」ととらえる大胆な概念による思考というのも興味深い。我々の認識能力はどこまであるか。2020/06/19

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