出版社内容情報
天下統一という大事業のなかで表舞台から消えていった武将たちに光を当て、ときに苛烈に粛清や誅殺、追放等を行った信長の戦略に迫る
内容説明
信長は天下統一の過程で多くの配下の者を粛清した。反逆が疑われる者は無論のこと、抜擢に応えられなかった者も容赦なく切り捨てた。なぜ信長は周囲の理解を超えた過酷な処分を行ったのか。一方、趨勢が明らかにもかかわらず、結果的に少なくない数の武将が反旗を翻したのはなぜなのか。着々と進む天下統一の裏で続いていた信長と家臣、そして恭順した大名たちとの駆け引き。その生々しい局面から、信長の戦略と素顔に迫る。
目次
第1部 挫折(元亀争乱の中に消えた部将たち;越前の争乱の中で;抜擢に応えられなかった者たち)
第2部 粛清(伊勢における粛清;近江における粛清;天正八年の老臣追放;北陸国衆の粛清)
第3部 反逆(反逆の中での尾張統一;将軍との対立の中で;水野信元と松平信康の切腹;信長を見限った外様大名;反逆による信長の最期;反逆されやすかった信長)
著者等紹介
谷口克広[タニグチカツヒロ]
1943年(昭和18年)、北海道室蘭市に生まれる。横浜国立大学教育学部卒業、戦国史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホークス
50
2007年刊。織田信長の血縁や軍幹部、帰順した敵将のほとんどは戦死や誅殺、追放となっている。一族皆殺しも多い。本書は彼らの盛衰や子孫を紹介する。話は悲惨だが人のサガが露骨で何だか小気味よい。現代人もサガに忠実だから笑えない。信長はアメとムチで実力以上のパワーを引き出し夢を見させ、自惚れさせ、嫉妬させる。家臣も我先にと博打に乗る。親族は叱咤するし、取り巻きも増える。パワーが落ちた者は取り替えるが、大抵は驕り昂り執着しているから殺す。最期は、自身が取り替えの対象にされてしまったが。リアルで昔の話とは思えない。2023/01/07
金吾
30
○勝ち組に見える信長の部下でも勃興期は多数の戦死をだし、安定期には反乱、失脚、粛清があったことより戦国の厳しさがよく伝わります。興味深い話が多かったです。2024/01/25
活字の旅遊人
29
伊勢や浅井・朝倉以降の北陸などにおける、信長による「平定」は、我ながら馴染みがない。本書には、自分の記憶にない家臣が沢山登場する。そこにも様々な戦いがあり、裏切りや粛清もあった。戦後の処遇に一貫性を欠いているのは、信長の弱点だと、これまでも感じてはいたが、本書でその考えが補強された気がする。それでもやはり、元々馴染みのある、「松平」信康、荒木村重、そして明智光秀(これは、消えた家臣ではないが)に興味が行く。終章に江戸以降の、信長評の変遷が書かれているが、これが面白かった。著者は、アマチュア歴史家?凄い。2021/03/02
Tomoichi
22
先日読んだのが「織田信長の家臣団」だったので、著者は違うがまあ同じ内容。マニアではないので細かい差は興味なし。消えた人達をピックアップした感じ。ただこの時代を復習していた感じるのはみんなが知っている合戦で敵大名が滅んだわけでないし、その後滅んでも一揆が反乱を引き起こし統治が安定しないなど、小説の様にはさらっとは行っていない。しかし一向宗の生臭坊主どもよ。きっと地獄に落ちているね。2022/06/11
月をみるもの
18
歴史解釈における生存者バイアスの強さを再認識させてもらった。佐久間ー水野ー久松の関わりを通じて、尾張と三河の相克に踏み込んでくれてたら、、というのはさすがに無いものねだりか。。 https://bookmeter.com/mutters/2012087912020/03/03