出版社内容情報
日本人の精神にも深い影響を与えてきた漢詩から、中国60人、日本40人による名詩を精選して、今もいきいきと脈打つ詩の精髄を示す。
内容説明
返り点と送り仮名の発明によって、日本人は、ほんらい外国の詩である漢詩を自らのものとした。その結果、それを鑑賞するにとどまらず、作詩にも通暁する人物が輩出した。本書は、中国人六〇人、日本人四〇人の、古代から現代に及ぶ代表的な漢詩を精選し、詩人独自の読みを附すとともに、詩句の由来や作者の経歴、時代背景などを紹介。外国文化を自家薬篭中のものとした、世界でも稀有な実例を、愉しみとともに通読する。
目次
逝く者は斯夫の如きか―『論語』子罕篇(孔子)
知らず 周の夢に胡蝶と為るか―『荘子』斉物論篇(荘子)
国に人無く 吾を知る莫し―離騒(屈原)
悲しい哉 秋の気為るや―九弁(宋玉)
力 山を抜き 気 世を蓋う―垓下の歌(項羽)
楼船を汎べて汾河を済り―秋風の辞(漢武帝)
吁嗟 此の転蓬 世に居る―吁嗟篇(曹植)
夜中 寐る能わず―詠懐詩(阮籍)
荏苒 冬春去り―悼亡詩(潘岳)
吾が家に嬌女有り―嬌女詩(左思)〔ほか〕
著者等紹介
高橋睦郎[タカハシムツオ]
1937年(昭和12年)、福岡県生まれ。福岡教育大学卒業。詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shun
3
戦いに明け暮れていた時代に作られた漢詩の哀愁溢れた感じが、どことなく好きかも知れない。日本で漢詩作りに興じられていた時代の物も織り込まれており、有名な李白、杜甫、乃木希典、夏目漱石などを初めとする漢詩百首とその時代背景について知ることが出来た。アルファベットも、言語によってさまざまであるが、ローマ文字を用いる英語やドイツ語、キリル文字を用いるのロシア語とウクライナ語の関係のように、漢字圏でも文法、語彙、発音等での共通点を見いだすことが出来る所に歴史の味わい深さを覚えた。<続く>2016/08/07
しまゆう
2
知らない人ばかり(中国人も日本人も)だったので、新鮮さがあった。しかし白文が載ってなかったので、非常に残念。書き下し文とその作者、作品にまつわるエピソードを見開きに収めてくれたのは大変読みやすくて良かった。となると、やはり白文が無いのが悔やまれる。他がいいだけに…。2016/06/06
ひつじ
1
書き下し文、訳、歴史的背景の繰り返しで歴史的背景そんなに求めてなかった自分としては苦しい読書でした。でも愁殺のやつは言い回しがお気に入りだし、蚊、イチゴも可愛かった。漢詩はリズムがあって読みやすいですね。2014/09/25
桔梗
1
中日の有名どこ、そろってて、高橋先生の解説が、味かあってよかった。特に日本人の漢詩も多くあったことに私は、満足! 最近、漢詩をかじって、自分でも作っているのですが。和歌にしろ、漢詩にしろ、昔の人は、教養の一部として嗜んでいたことに、ただただ、感心したします。本書のあとがきでも、かんしの教育のいまと昔についてあるのですが。私は、漢詩という物を、いまの日本でも、ぜひ、多く漢詩に触れる教育になればなと、思います。