中公新書
写楽―江戸人としての実像

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  • サイズ 新書判/ページ数 202p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121018861
  • NDC分類 721.8
  • Cコード C1221

出版社内容情報

写楽「誰それ説」はもういらない――江戸文学の大家が残された手がかりを丁寧に考証し、写楽=阿波藩士斎藤十郎兵衛説を証明する

内容説明

寛政六年(一七九四)から翌年にかけて、浮世絵界に忽然と現われて消えた画号「東洲斎写楽」。その素性についての「誰それ説」は枚挙に暇がないが、実はこの現象が過熱したのは、戦後のことに過ぎない。本書はまず、江戸文化のなかで浮世絵が占める位置を再考した上で、残された数少ない手がかりを丁寧に考証し、写楽が阿波藩士斎藤十郎兵衛であることを解き明かす。それを通じて、歴史・文献研究の最善の方法論をも示す。

目次

第1章 江戸文化における「雅」と「俗」―写楽跡追い前段
第2章 すべては『浮世絵類考』に始まる
第3章 斎藤月岑という人
第4章 『江戸方角分』の出現
第5章 『江戸方角分』と写楽
第6章 大団円
補章 もう一人の写楽斎

著者等紹介

中野三敏[ナカノミツトシ]
1935(昭和10)年、福岡県に生まれ、佐賀県に育つ。早稲田大学第二文学部卒、同大学大学院文学研究科修士課程修了、文学博士。82年より九州大学文学部教授を務め99年退官。その後、福岡大学教授を務め、2006年退職。著書『戯作研究』(中央公論社、1981年、サントリー学芸賞、角川源義賞受賞)、『近世子どもの絵本集』(共編、岩波書店、1985年、毎日出版文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HH2020

4
〇 江戸時代の浮世絵師写楽は現代でも絶大の人気を誇っている。しかしその素性は謎に包まれていて、様々な議論があるらしい。著者はその議論に決着をつけるべく緻密な論証を重ねてある結論を導き出す。感想としては、ずいぶん熱くなってるな、そこまでむきにならなくてもいいんじゃないの、はっきりしてよかったね、でもきっとまた反論が出てくるよ。私にとってはどうでもいいと思えるが、ひとつのことにこれだけのエネルギーを注げるというのはたいしたものだ。邪馬台国論争にちょっと通じるものを感じた。2016/11/15

あくび虫

3
これは…読者に理解させる気はあるのでしょうか。読めない。娯楽的に書けというわけではありませんが、せめて興味を惹かせる書き方をしてほしいです。2018/01/30

たぬき

2
素人はだまっとれ2013/02/10

果てなき冒険たまこ

1
未だに「謎の浮世絵師」として取り上げられることの多い東洲斎写楽についてその実体は阿波藩士斎藤十郎兵衛であることを繰り返し証明した本。 専門家ではないので途中の江戸方角分に関する解説などは正直うんざりしたが内容的にはとても説得力があり納得させられた。 そりゃ士分で浮世絵師は名乗れないよなぁ。 2022/01/12

1
近世文学史研究の大御所による東洲斎写楽論であります。『信長は謀略で殺されたのか』という本能寺の変の謀略説をこてんぱんにやっつけた快著があるんですが、これはその写楽版といったところ。世間で持て囃される別人説が、史料の成り立ちや信憑性の検証をないがしろにして、自説に都合の悪いものを安易に妄想や捏造と決めつけ、排斥しているという実情。文献学者として「いいかげんにしてくれ!」と文句をいいたくなる心情がひしひしと伝わってきます。史料におかしなところがないなら信用していい、とする著者の主張は明快にして痛快。星4つ。2014/07/31

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