出版社内容情報
尾張一国から天下統一目前へと発展した信長軍。その中核を占めた部将たちの権限や活躍ぶりを検証する。
内容説明
武田・上杉・本願寺・毛利などの強敵と領土を接した織田信長は、一万を超える大軍団を柴田勝家・明智光秀・羽柴秀吉・滝川一益らに預け、四方の平定に当たらせた。この「方面軍」司令官こそ、信長麾下の部将たちにとって究極の地位であった。尾張一国から畿内平定、天下統一へと驀進する信長軍にあって、彼らはどのように出世を遂げたのか。時代を追い、並み居る名将たちの顔ぶれと与えられた権限、具体的な活躍をたどる。
目次
第1章 信長軍の組織と編成
第2章 尾張一国から美濃併合へ
第3章 信長の上洛と京畿の行政
第4章 近江の分封支配
第5章 将軍追放と畿内の直接支配
第6章 信忠軍団の形成
第7章 方面軍の設置
第8章 西部方面作戦
第9章 方面軍の再編成
第10章 信忠軍団と五方面軍の作戦
著者等紹介
谷口克広[タニグチカツヒロ]
1943年(昭和18年)、北海道室蘭市に生まれる。横浜国立大学教育学部卒業。戦国史研究家
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感想・レビュー
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キキ
24
厳しい世界だなぁ(^^;信長の下で方面軍司令官に抜擢されることは憧れであり目標であったんだろうなぁ。出世の頭打ちするものが出れば、怒濤の勢いで出世コースに現れる者も居る。でも信長がいたことで後世に名を残せるほど有名になった人物が沢山いるのは事実で、信長の凄さも感じます(*^^*)2015/06/01
ようはん
18
著名な織田家臣の立ち位置や出世レースは思った以上に変動が激しい。武将達の人事に関してあれこれ考えを巡らし一人悩む信長の姿もあったのだろうかと想像する。2023/06/22
coolflat
18
それぞれ戦国大名に匹敵する信長方面軍は6つあり、北陸方面軍(柴田勝家を長とし、佐々成政、前田利家)、大阪方面軍(佐久間信盛を長とし、松永久秀)、中国方面軍(羽柴秀吉を長とし、羽柴秀長、蜂須賀正勝、黒田孝高)、畿内方面軍(明智光秀を長とし、細川藤孝、筒井順慶)、関東方面軍(滝川一益を長とし、真田昌幸、北条高広)、四国方面軍(神戸信孝を長とし、三好康長、丹羽長秀)がある。方面軍の定義としては、一定の担当部署を持ち、万単位の兵を抱え、同格の立場で協力し合う横の関係でなく、司令官を長とした縦の関係、が挙げられる。2019/12/25
niwanoagata
9
前半は戦の武将を中心に、後半は方面軍形成を中心にまとまった構成。 誰か誰に属しているかとか、どの戦に参加してるかとかでその武将の特性が見えてくる、そんな本でした。 またここから信長の好みや天下統一末期、完成後の構成というのも予測できるような気がします。2020/03/04
閑
8
信秀時代から本能寺までの織田家に仕えた武将達の出世競争をまとめた本。史料を丹念に読み解いていき先行研究も紹介しつつ自説も論じる硬派な学術書っぽい文章は好印象。信秀時代からの重臣でありながら追放された佐久間と堅実に実績を固めた柴田。最後まで大役を任せられることがなかった丹羽、度重なる戦争で方面軍を形成し実績を作ってのし上がる明智・羽柴などなど。また磯野・簗田・武藤・蜂屋などなど多くのマイナーな人物にも分量を割いている。人口に膾炙した「実力主義」の信長の人事というものをどういうものか良く分かる良書だった。2015/03/14