内容説明
バクテリアなど単細胞生物は苦いものから逃げる。なぜなら毒だからである。ヒトの赤ちゃんも苦いものを避けるが、成長にしたがって好むようになる。違いはどのように生まれ、どれほど違うのか。そして、私たちがふだん認識している「感性」は何にもとづくものだろうか。五感のうち、生きることに直接かかわる味覚と嗅覚を手掛かりに、生物が外界の情報を認知し、イメージを形成する過程を追って、ヒトとは何かを問い直す。
目次
第1章 「感性」とは何か
第2章 単細胞生物の知恵
第3章 生物の自己組織化と「場」
第4章 「おいしさ」が脳に認知されるまで
第5章 味覚を表現する
第6章 嗅覚を表現する
エピローグ ミクロとグローバルの狭間で
著者等紹介
都甲潔[トコウキヨシ]
1953(昭和28)年、福岡県生まれ。九州大学工学部電子工学科卒業、同大学大学院工学研究科電子工学博士課程修了。九州大学助手、助教授を経て、現在、同大学大学院システム情報科学研究院教授。バイオエレクトロニクス専攻
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
14
感性の概念やその英訳は難しい(第1章11ページ他)。feeling,sensibility,sense,emotion,comfort,heart,sensitivityなど。感性は文化的側面を包摂する日本的なものなのだ。この本は理系の内容だが、文系の内容としても同じタイトルで書くことは可能に思える。手法の違いは、歴史的事実を重視するかどうかになると思った。本著は、スカトールという成分は、大人が臭いと思うが、幼児は不快でないという(109ページ)。9~12歳でバラの方に好意を抱くらしい。感性科学は謎だ。2012/08/03
貧家ピー
4
五感を化学的に分析、中々むずかしい。斜め読み。2005/07/13
yuri
2
ちょっと求めていたのとは違っていたけれど、理科系のお話に免疫の無い私でも楽しく読めました。特に「にほひ」についての記述。ただ、この段の最後の一文は言い過ぎなんじゃないかな〜。そういう感覚は、まだ残っている気がする。全体的に、目新しさには欠けたかな、という印象。アプローチの斬新さはよくわからないので、思想的な面で言うと、「そうだよね」って部分が多かった。2013/12/11
kotan
2
味覚・嗅覚の入門書としては十分楽しめた。ただ、同じ著者の「自己組織化とは何か」と重なる部分が多かったのが残念。。。光電効果やゾウリムシの走行性から、常に動き続けているほどここ一番、というときのフットワークが軽い、という先生の余談みたいな(実際そうか笑)部分が特に印象的。2010/05/13
ぐだぐだ
0
ミクロとマクロ。2016/07/10