内容説明
一九世紀末、アメリカは急速な工業化に起因する社会の混乱を克服し、政府・企業・研究機関の三者が協力する体制を確立した。このシステムの下で経済発展は加速し、未曾有の大恐慌と二度の世界大戦を経て、世界をリードする超大国にのし上がっていく―。自由と民主主義の理念、物質的な豊かさが一体となった「アメリカ文明」が世界を席捲する二〇世紀前半を、社会・文化的側面に光を当てながら叙述する。
目次
序章 「アメリカの世紀」
第1章 二〇世紀前夜のアメリカ―一八九〇年代
第2章 革新主義の時代―一九〇〇年代~一九一〇年代
第3章 大衆消費社会の展開―一九二〇年代
第4章 「現代アメリカ」の危機―一九三〇年代
第5章 アメリカの世紀へ―一九四〇年代前半
著者等紹介
有賀夏紀[アルガナツキ]
1944年(昭和19年)、東京都に生まれる。お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京大学大学院社会学研究科国際関係論博士課程単位修了。スタンフォード大学大学院修了(Ph.D.)。現在、埼玉大学教養学部教授。専攻、アメリカ史、アメリカ研究。『アメリカ・フェミニズムの社会史』で山川菊栄賞および日米友好基金賞を受賞
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感想・レビュー
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k5
54
ジョン・ル・カレブームの一環として、20世紀の歴史を学び直すべく読みはじめました。上巻は第二次世界大戦まで。「アメリカの世紀」「アメリカ文明」というパワーワードに接すると、一体その主体は誰だったのか、という気になりますが、そう簡単に答えは出ません。でも、20世紀は20年ちょっとくらいしか体験していないけれども、なんだかアメリカ「文明」って言葉が腑に落ちる気がするんですよね。2024/02/14
James Hayashi
20
上巻は1945年まで。世界帝国と覇権を築き上げる米国の歴史。2020/10/17
トムトム
19
歴史の浅い国、アメリカ。どのような文化でどのように発展して。興味深かったです。銃社会、差別、戦争、キリスト教原理主義、正義、極端な資本主義。国の成り立ちから見ていくと少しだけ理解できるような気がします。日本は戦後、アメリカをお手本にしてきたけれど、何か違う気がしました。2023/07/02
Kei
14
ソーシャル・ダーウィニズム。「政府は問題の解決策ではない。政府の存在自体が問題なのだ。」レーガン。AT&Tグラハムベル。コクシーの軍隊。ギブソン・ガール。革新主義。「知的探求体制」=産学官共同体制。ブラウン判決。1924年移民法。ダストボウル。バンクホリデー-ローズヴェルト。2016/08/17
511
7
建国から第二次世界大戦終戦までの概要である。革新主義と消費社会にスポットが多く当てられている。戦前の多くの時代は貧困の差は大き、現代と比べ物にならないほどの差別にまみれていた。「アメリカン・ドリーム」を掲げるのはそれを掲げなければ挫折してしまいそうなほど過酷だったからではないか。気になったのが冒頭紹介されていた」ソーシャル・ダーウィニズム」。貧富の差は科学的に正当化されるものである、という考えに基づくとあるが、筆者も実際には社会的環境的変数の方が大きいと説いている。現代に投げかけれる疑問ではなかろうか。2017/04/28