内容説明
自分の利害が、自分の行動だけでなく、他人の行動によってどう左右されるか、という状態が戦略的環境であり、その分析ツールがゲーム理論である。ビジネス交渉はもちろん、バーゲンでの買い物や合コンの席順といったことまで私たちは他人の行動を織りこみつつ戦略を立て実行しているのだ。本書は身近な話題をふんだんに使い、コミットメント、シグナリングなどゲーム理論のキーワードを解説しながら読者の戦略的思考を磨く。
目次
1 戦略的思考のススメ―戦略的思考の基礎(戦略;先読みと均衡;リスクと不確実性)
2 考えるヒント―戦略的経済分析のキーワード(インセンティブ;コミットメント;ロック・イン;シグナリング;スクリーニングと逆選択;モラル・ハザード;値引き競争;オークション)
著者等紹介
梶井厚志[カジイアツシ]
1963年、広島県呉市生まれ。1986年、一橋大学経済学部卒業。1991年ハーバード大学大学院卒業。Ph.D.in Economics。ペンシルバニア大学助教授、筑波大学社会工学系助教授を経て、現在、大阪大学教授社会経済研究所。専攻、理論経済学、情報の経済学、一般均衡論、金融市場理論、ゲーム理論
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感想・レビュー
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Kiyoshi Utsugi
32
梶井厚志の「戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する」を読了しました。 数式を用いずにゲーム理論をなんとなく理解するにはもってこいの本でした。 著者は1963年生まれなので、今の学生とは違って携帯電話などなかった時代の話など、「わかる、わかる」と思いながら読んでました。 コラムの欄で、著者が米国に留学した時に阿佐田哲也の「麻雀放浪記」を機内で何度も読んだ話など、これも当時の男子学生だと「わかるわかる」となるんでしょう。2021/04/09
異世界西郷さん
20
『文豪ストレイドッグス』を観ていたときに「ゲーム理論」という言葉が出てきたのですが、「実際どういうものかはよく知らないな」と、ふと思い至りこの本を読んでみました。この本は初版が2002年ということもあり古い事例が多かったりしますが、それを除けば今でも通用する部分も多く勉強になります。合理的な戦略とはどういう事なのか、有益な行動を取るのに必要な知識にはどのような物があるのかが分かりやすく書いてあり読みやすいです。「先読み」「モラル・ハザード」「シグナリング」など対人関係で参考に出来そうな物も多いです。2016/07/05
かるかん
19
『重要なのは戦略的思考の原則に即して考えたときに、現実問題がどのように理解できるか、ということなのである。』 特におもしろかったのが、一見自分には不利に見える戦略が実際は有利に運ぶといった、肉を切らせて骨を断つ戦略の有効性についてであった。また、節の最後のオチが毎度毎度ユーモアに溢れていて読むのに飽きることがない本だった。2014/09/25
KAZOO
18
この本はゲームの理論についての本ですが、著者も言っていますように、どのゲームの理論の本も「囚人のジレンマ」を書いているがこの著者はそれについては書かないので、それを勉強したければほかの本をあたってほしいということだそうです。確かにその通りでこのような本もあってもいいのだと思います。数式はあまりなく、文章での説明が多いのですが例が豊富で分かりやすさはあると思いました。コラムも面白く笑ってしまうところが何か所かありました。2014/05/20
501
17
ゲーム理論は今や専門用語と数学で難解なものとなっているとのことで、それらを殆ど使わず、買い物や野球などなど、日常的な出来事に含まれている戦力的思考を取り上げて、ゲーム理論の概要を掴むのを目的とした本。結局学問としてのゲーム理論は全くわかった気になれなかったが、前書きに「楽しく読めることを優先して」とあるように、面白くさっくり読めて、日常で経験する物事をなぜそうなっているのか分析的に考える楽しさを感じられた。2020/09/10