内容説明
言語に規則があるのは、人間が言語を規則的に作ったためではなく、言語が自然法則に従っているからである―。こうしたチョムスキーの言語生得説は激しい賛否を巻き起こしてきたが、最新の脳科学は、この主張を裏付けようとしている。実験の積み重ねとMRI技術の向上によって、脳機能の分析は飛躍的な進歩を遂げた。本書は、失語症や手話の研究も交えて、言語という究極の難問に、脳科学の視点から挑むものである。
目次
脳‐心‐言語
獲得と学習―人間はチンパンジーとどこが違うか
モジュール仮説―言語はどこまで分けられるか
普遍文法と言語獲得装置―言語学とは何か
言語の脳科学―言語はどのようにして調べられるか
言語の機能局在―言語に必要な脳の場所
言語野と失語―左脳と右脳の謎
自然言語処理―人工知能の挑戦
言語入力の脳メカニズム―単語から文へ
文法処理の脳メカニズム―文法は脳にある
手話への招待―音のない言葉の世界へ
言語獲得の謎―言葉はどのようにして身につくか
感受性期とは何か―子どもは言語の天才
著者等紹介
酒井邦嘉[サカイクニヨシ]
1964年(昭和39年)、東京に生まれる。87年、東京大学理学部物理学科卒業。92年、同大大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。同年、同大医学部助手。96年、ハーバード大学医学部リサーチフェロー。MIT言語・哲学科訪問研究員を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授
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