中公新書<br> 南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌”

中公新書
南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌”

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  • サイズ 新書判/ページ数 208p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121015433
  • NDC分類 562.1
  • Cコード C1222

内容説明

16‐17世紀に新大陸で産出した銀を中心とする貴金属は、厖大な富をスペイン帝国にもたらし、それが来たるべき近代ヨーロッパ経済を支える原資となった。かくも大量の鉱物資源はどのように採掘・製錬・輸送されていたのだろうか。本書は、現在はボリビア領に属する南米最大の銀山ポトシに光をあて、安価な労働力を安定供給するため先住民に強制した輪番制労働システムによる銀生産の実態に迫る。

目次

第1章 インディアスの略奪
第2章 セビリアに流入する貴金属
第3章 ポトシ銀山
第4章 カリブ海諸島の悲劇
第5章 鉱山労働をめぐる自由と強制
第6章 ミタ労働への道
第7章 ミタ労働を導入する
第8章 ミタ労働と水銀アマルガム法
第9章 変容
第10章 改革のゆくえ
第11章 ミタ労働の終焉
第12章 流出する銀
第13章 セビリアとポトシ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

21
スペイン人が南米のポトシ銀山で銀を得るために先住民に強要したミタ制(輪番労働制)について扱う。結局、シモン・ボリバルによる解放まで、スペインは先住民の強制労働をやめることはないのだが、スペイン人がどのような論理により彼らを酷使したのか、なども紹介されている。曰く、「彼らは皆、生来の怠け者で、働くくらいなら餓死を選ぶから」(p.77)というが、スペイン人は「誇り高く、つるはしをもつくらいなら餓死するほうを選ぶ(p.79)なのだという。2020/07/16

富士さん

6
初めて読んだ時はつまらなかったですが、再読すると結構おもしろい。特にスペインが新大陸を搾取する時の正当化の理屈が説明されているのがいいです。要はスペイン人はアメリカ人をスペイン化すれば、文明を広めるという義務を果たしていることになり、対価を受け取る権利があるということのようです。スペイン人はそこで息を吸ってるだけで”労働”で、怠惰なアメリカ人はそんなスペイン人から汗水らたして勤勉な生活を教えていただくという図式。労働イデオロギーの正体をここまでバカバカしく純粋に示した例というのは、そうないように思います。2017/03/31

Empirestar

4
スペインがカリブ海・南米大陸を植民地化する過程の中で、莫大な富を生み出した南米ポトシ銀山の労働・雇用状況をデータで解説した本。原住民をキリスト教に帰依させ、彼らを啓蒙・教育するという大義名分により労働力を搾取。その中でもミタ制とよばれる賦役システムは現地で特権階級化したエンコンミエンダらによって発展させられた。インディオの血と肉によって莫大な銀を生み出したポトシ銀山。スペインがなぜ没落したのかは、産業を育成するわけでもなく、南米からスペインへと略奪したに過ぎないということで、スペインの功罪は大きい。2013/11/04

yanapong

2
ミタ制と呼ばれる、ペルーでの鉱山労働者徴用制度。結果として強制労働。西洋人の先住民蔑視観による植民地政策。2010/09/06

鬼山とんぼ

1
新大陸の発見に伴う銀の大量流入の経緯を勉強しようと思って手に取ったのだが、全くの当て外れだった。スペイン人による過酷な現地人らからの収奪の有様が克明に記述され、いわゆる植民地収奪史の醜い面の物語であって、結局、銀の累計生産量とか、最盛時のポトシ人口が16万人だったとかは別の情報源に頼った。メキシコでは鉱夫らへの賃金が支払われたが南米では強制労働に近く、個人の所有物として配慮される奴隷よりも過酷な境遇にあったとされる。今でも人命が軽視され、暴力と犯罪がはびこる南米の地域的特性が生まれた事情の一端が判った。2022/06/14

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