中公新書<br> 秩禄処分―明治維新と武士のリストラ

中公新書
秩禄処分―明治維新と武士のリストラ

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  • サイズ 新書判/ページ数 213p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121015112
  • NDC分類 210.61
  • Cコード C1221

内容説明

秩禄処分とは明治期に行われた華族・士族の家禄を廃止する措置であり、学制・徴兵令・地租改正に匹敵する改革である。これによって武士とという特権的身分は完全に消滅した。さほどの暴力的手段を用いることなく、わずか十年でこの改革をなしえた背景には何があったのか。社会全体の変換期にあって、政治家が決断力とリーダーシップをもって国家目標を示し、士族たちもまた、それを理解した。天下国家への「志」が存在したのである。

目次

第1章 江戸時代の武士
第2章 維新期の禄制改革
第3章 留守政府の禄制処分計画
第4章 大久保政権の秩禄処分
第5章 禄制の廃止
第6章 士族のゆくえ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

67
明治初期の制度変革の中、武士から士族となりながら、職の対価としての給料ではなく、禄を食んでいた者たちから、その禄をいかにして剥ぎ取るかという、結構な難題(何しろその剥ぎ取る側の人間も、もとをただせば武士であった)にいかに取り組んだかという歴史を結構詳細に著している。士族の側にも無職の禄に対するネガティヴな意識があったことや、いわゆる士族反乱にこの問題はあまりつながっていないなど、重要な指摘もあった。また、上士、下士、卒等の地位の違いによってもその後の生活には差が出たよう。明治初期の社会史として面白かった。2022/06/08

Ucchy

4
明治の最初10年間の武士の世襲の家禄を廃止するプロセス。既得権の廃止というのは激しい抵抗があるものだが、段階を踏み、時に妥協しつつ、最終的には完全に解体されたのは世襲の家禄について社会にそぐわないという社会からの批判、武士自身の納得があったから。人口の5%の士族に国家歳出の3分の1が支出されるのは明らかに不適切で富国強兵のためには秩禄処分は必須だった。現代日本も財政再建が必要な状況だがこのように既得権(年金や医療?)に切り込まないといけないのかもしれない。家禄を金禄公債にするのは証券化みたいだと思った。2019/01/12

印度 洋一郎

2
明治維新後、強固な支配層だった武士の収入である俸禄を廃止し、華族と士族として再編成して、新体制に取り込むという一大改革である「秩禄処分」を、明治最初の約十年の状況と共に概観する。何しろ、武力を持っている集団である武士とその組織である藩を解体するために、新政府はあの手この手で段階的に俸禄を削減していった。当然生計の糧を失う武家は反発するが、江戸時代から事実上経営破綻している藩も多く、そこまで行かなくても多額の債務に苦しんでいる藩ばかりだった。そのため、藩の側から新政府に統治を返上する動きもあった。 2023/05/09

Shun Kozaki

1
維新という「運動」自体は、いわゆる政治的・軍事的クーデタ、あるいは革命という色を拭えないが、それ以後の「状態」としての政府運営に関しては、予算配分や折衝などが多くなり「維新の理念」そのもので動くことは少ない。(まあ、「臣民」に組み込むために近代天皇の表象というイデオロギーを強制はするのだが……) 結局近代という流通システムの中で生きるには、資本主義に「開いていく」必要があるわけでして、そのなかでの旧時代の官僚的資本配分を殆ど抵抗なく解体できた秩禄処分自体は、もっと注目を浴びてもよいのにな。2018/04/11

Hiroki Nishizumi

1
事実が淡々と書かれているという印象。もう少し背景や影響などの考察を噛みくだいて書いて欲しかった。2016/11/03

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