中公新書<br> 数学は世界を解明できるか―カオスと予定調和

中公新書
数学は世界を解明できるか―カオスと予定調和

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  • サイズ 新書判/ページ数 182p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121014757
  • NDC分類 410
  • Cコード C1240

内容説明

天動説は数理モデルを構成して数学的に天体運動を説明する試みである。ガリレイは地上運動にも数理構造があることを示し、ニュートンはそれらを土台に近代的力学を創った。数学の発展がそれを可能にした。現象の基礎にある法則とその数学的表現である微分方程式が示すのは単純さと美しさをもつ予定調和的世界である。しかし、コンピュータの出現は自然の内包する複雑さを明るみに出した―。現代科学思考の到達点を平易に叙述。

目次

1 未来を予測する―科学の始まり
2 システムとモデル化
3 単純な法則と美しい現象
4 複雑さこそ単純さの源
5 揺らぎから生じる新しい制度
6 生態学モデル
7 単純さから生じる複雑さ、カオス
8 日はまた昇る?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひろ

11
カオス理論に出会ったのは大学の研究のときだったけど、ローレンツアトラクタの不規則さとアート的な美しさに、衝撃を受けたのを覚えている。決定論的な世界観に疑義を抱かせる一方で、複雑さの中にも単純な規則性があるという積極的な意味を持っているという、自己矛盾の様な一面もあるのだなと勉強になった。表面的ではあるので本質的な理解は難しいが、物理学の発展の歴史の中でカオスがどういった位置づけを担ってきたかが良く分かる。文章は少し難解に感じられた。2014/02/11

風竜胆

10
疑問なのは、世界で初めて物理現象としてのカオスを発見したのは、京都大学工学部の電気系にいた上田睆亮さんだ。同じ時期に発見されたローレンツアトラクタに対してはかなりの説明があるのに対して、上田さんのジャパニーズアトラクタについて全く説明がないと言うのはどういう訳だろうか。 2013/05/28

はるゆう

5
全体を流し読み。ガリレオの研究が成功したのは、空気抵抗などを無視して「理想化」した状態を取り扱ったこと、カオスには否定的な側面だけではなく、「単純な法則性」が隠されている可能性があること、が気になった。2012/03/31

chokuyuu

5
著者は津田塾大学の教授で,力学系理論を専攻している. 万有引力に代表されるように,数学によって記述できる現象は数多い.これらをまとめた一冊. 複雑系はもちろんのこと,生態学に関しても書かれており,全体としてまとまっている良書だと思う. 数学的な用語が多く,理系でなければ理解は厳しいかもしれないが書いてあることは非常に興味深い. 個人的にはとても満足できる一冊.純粋に数学,物理の世界の人の頭脳に感心した.2009/12/05

しいかあ

4
自然ってのは微分や積分で計算するようななめらかな曲線を描くものじゃあなくて、もっとデコボコギザギザしてるもんなのかもなーと思った。物理や数学は不得手なので途中からちょっとついてけなくなった。本筋とはちょっとはずれるだけど、「「システム」という捉え方では、その対象の「意味」は汲み取れないのである。」っつー一文がすんごい納得。意味を取り出すには、システムが創りだすものを読み取ることが必要なのかなと思う。2011/06/07

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