中公新書<br> インド人の論理学―問答法から帰納法へ

中公新書
インド人の論理学―問答法から帰納法へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 333p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121014429
  • NDC分類 126
  • Cコード C1210

内容説明

インド人の思考法の基本は、観察から法則を導き出す帰納法にある。それがギリシャのアリストテレスが創造した演繹法的論理学との最大の違いである。彼らの帰納法的な思考の淵源は、インド文法学の伝統と、さらにさかのぼってブッダの「縁起」の教えにあると推測される。本書は、インドにおいて、どのような論理的思考が、いかにして発展していったか、インドの人々の考え方の基本を、歴史的に明らかにしようとする試みである。

目次

第1章 インドに哲学はあるか?
第2章 インド論理学の構造
第3章 インドにおける討論の伝統
第4章 帰謬法―ナーガールジュナの反論理学
第5章 インド人の思惟方法―帰納法

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

in medio tutissimus ibis.

4
提案「インドの哲学は、帰納法であることが特徴である」理由「随伴と排除の原理に基づいて論証するからである」喩例「仏教哲学の基礎である縁起(四聖諦)の思想は、Xのある時Yがあり、XのないときYもない、というまさに随伴と排除の原理である」適用「同様に、インドの哲学には随伴と排除の原理が働く」結論「したがって、インドの哲学は帰納法である」。問答の形式とか論証の勝敗のつけ方とか、龍樹をはじめとする哲学者の各論については置いてきた。ハッキリ言って頭がついてこれそうもない。なかった。興味深くはあったんだけど難しすぎる。2018/02/09

田蛙澄

4
わりと興味あったのだが『ヴァイシェーシカ・スートラ』などを読んでいても今一つ良くわからない部分があって買ったのだが、インド哲学側のニヤーヤ・スートラの立場やナーガールジュナ、ディグナーガ、ダルマキールティなどの仏教論理学の立場も紹介されており、今一つ良くわかったなかった遍充関係や排除と随伴、喩例の役割、因の三相などといった論理概念を理解することができ、西洋論理の演繹に対する帰納の論理というのは確かにその通りだと感じ、とても興味深く読むことができた。2017/02/01

noharra

3
「帰謬法 ナーガールジュナの反論理学」 の部分(第4章)だけ読んだ。 龍樹の論理(四句分別)は、{A、B、AかつB、AでもBでもない}と一切を4つに分ける。(この場合否定は排中律を前提とする相対否定) そしてそのすべての場合を検討して、すべてに論理的誤謬を指摘する。 つまり、「それ」は概念的把握を超え、本質を持たず、「空」であると結論する。 龍樹はニヤーヤ学派の根拠である範疇論的実在論を徹底否定する。当時の問答法のマニュアルに則ったものであり、詭弁を用いて相手を敗北に導くことに躊躇しなかった。 わかり易い2019/01/12

パラ磯ロングビーチ

3
演繹的・公理主義的に厳密精巧なオルガノンの体系を築いてきた西洋論理学と比べると、インド論理学は問答法(討論術)の長い伝統の中で独特な存在論や認識論と結びついた帰納的な論証の方法を発展させたようだ。今日的に、そこに(西洋論理学とは異なる)なにか独自の意義のようなものがあるのか、ということまでは私にはよくわからないが……。インド哲学史全体の概観も与えてくれる好著。2012/02/21

karatte

1
読了日不明。龍樹の空論について勉強していた頃、目次の"帰謬法――ナーガールジュナの反論理学"という言葉にそそられ購入。そしてこれが大当たり。インドにおける論理学の変遷と内実を知りたければ、この一冊で充分。アリストテレスに端を発する演繹法的論理学が神話の否定によって成立したのに対し、インドの帰納法的論理学が仏教教義の拡張解釈・補強材料として機能している点、大変興味深い。

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