中公新書<br> 『西遊記』の神話学―孫悟空の謎

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『西遊記』の神話学―孫悟空の謎

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  • サイズ 新書判/ページ数 241p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121014184
  • NDC分類 923.5
  • Cコード C1297

内容説明

孫悟空はギリシア神話の英雄・豪男ヘーラクレースの一族、観世音菩薩は同じく知恵の神女アテーナーの姉妹である。『西遊記』はユーラシア大陸の神話をひろく吸収して成立した一大神話的ドラマである。現代の比較神話学の力を借りて分析すると、三機能・死と再生など『西遊記』の深層に隠されていた神話的モティーフが次々と明らかにされる。元・明の間という時代に、なぜこうした物語が成立したのか。中国史にも謎を投げかける。

目次

アテーナーから観世音へ
女神の零落
天の簒奪者
パーンドゥ五王子
ヘルメース・プロメーテウス・ヘーラクレース
祭司・戦士・生産者
孫悟空と猪八戒
猪八戒はイノシシかブタか
『西遊記』の根元テーマ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

武井 康則

14
著者は比較神話学の立場だというが、比較神話学がとんな概念で分析する学問かよくわからない。唯一「祭司・戦士・生産者」の章で、デュメジルが言うキャラクターの三機能説くらいか。それはまさしく祭司と戦士と生産者に役割を分類するというもの。後はギリシャ神話やマハーラーヤナなど思いつく限りの神話伝説を列挙して、文化人類学のトリックスターやユングの元型まで概念だけ持ち出して、ただ似ているだけで影響があるという。これは雑学エッセーの類でしかない。文科系の各学問領域もそれぞれに方法論を確立し科学となっている今あまりに古い。2021/08/08

GEO(ジオ)

3
読み終わった。中国の名作小説『西遊記』とその来歴というか、元ネタとなったものにインドのハヌマーンに関する神話など、世界各地の神話があるのではないかと説いた良書。読みやすい内容ではあったが、よくわからない箇所もしばしばあった。『西遊記』をはじめ、もうちょっとしっかりと勉強していきたい。2016/02/21

suzuki-takefumi

0
読み始めは箇条書きマジックのような印象を受けるが、元代にモンゴルが西方の文化をもたらし、それが西遊記の物語に大きく影響を与えているのではないか、という話が出てくると説得力がまるで違ってくる。興味深い視点。2010/10/23

すがし

0
西遊記の淵源がギリシャやスキタイなどの創世神話に求められることを解き明かした労作。孫悟空らは自分自身を犠牲に供して宇宙の秩序を取り戻す。2009/12/11

みかんAA

0
図書館。西遊記は数々の神話を下敷きにして成立しているという。観世音がアテナ・処女神の性格を持っているとか、孫悟空と英雄譚、猪八戒と「豚・猪」、物語の中で繰り返される再生と復活。これまで各地の神話や民話を読んできて、似たような話は大体どこにでもあると感じてきたので、全体の論旨には納得だが、この本は「当てはまる事例」を紹介するのだから、信じるには西遊記を読み直さなければ…。三蔵22回、猪八戒15回も捕まるんですって。またかよ〜と思うのも仕方のない数、ホント。でも、そういうところにも意味があるかもって面白い。2021/04/25

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