中公新書<br> 夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男

中公新書
夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男

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  • サイズ 新書判/ページ数 229p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012333
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1295

内容説明

近代日本文学を代表する作家で、英文学者でもあった漱石。その作品は、英米文学の受容とともに論じられることが多かった。本書は漱石作品を、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子、人情本、読本のような江戸期の文学と西洋文学との交点に生まれたものとして捉え、比較文学の手法を用いて分析、『坊つちやん』の武士的精神が『虞美人草』以降、恋愛の世界と交錯し、同性関係と異性関係の絡み合いとして、『こゝろ』が生まれる過程を考察する。

目次

第1章 『坊つちやん』の系譜学―江戸っ子・公平・維新
第2章 「お家騒動もの」としての『虞美人草』
第3章 女性嫌悪のなかの「恋愛」―『三四郎』
第4章 「メタ=恋愛小説」としての『それから』
第5章 惚れる女、惚れられる男―『行人』
第6章 『こゝろ』は「同性愛小説」か?
第7章 幻の「内発性」―『明暗』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

66
この著者が二番目に出版した本だという。1995年で彼が大学院入学前後ぐらいの時期のようだ。漱石の7作品を各章ごと取り上げ、漱石が英文学以上に親しんでいたはずの江戸文芸、浄瑠璃歌舞伎落語などからの影響、とくに現代と異なる恋愛観などの考察や先行研究などと照らし合わせて論じる。実に丹念な内容でいまの著者の語り口とまったく違うのに驚く。のちの著者のテーマ、日本人の恋愛論などの萌芽が垣間見える。坊っちゃんの自称「江戸っ子」の性格などいろいろ面白く読めた。良書。ふと数えてみるとこの著者の既読本はこれで20冊目になる。2018/04/24

モリータ

7
◆1995年刊。面白かった。書き味や立場は今とはずいぶん違うが。2020/08/05

ルアット

6
「坊ちゃん」を読んだのは中学生のとき。当時、「坊ちゃん」のよさもわからず、、なんの魅力も感じなかった。だから再読することもなく、今日まで来てしまったが、この著者の考察を受けると、「坊ちゃん」がなぜ素晴らしいのかがよくわかった。「虞美人草」、「三四郎」、「それから」なども、何度か読んできたが、上っ面な理解しかしていなかったことを痛感した。面白い内容の本だったが、引き合いに出される浄瑠璃や歌舞伎、マニアックな文献などについては詳しくないので、その辺は理解しづらかった。2014/12/18

遠藤三春

5
近世中心の研究者、恋愛論なんかを書いているのをよく見かける人なので、今回も恋愛中心、近世の特に八犬伝を中心とした江戸から、漱石作品の恋愛について比較考察を行っている。ぱら見になってしまったが、割と面白かった。各章始に、それまでの先行研究がかなり分かりやすく紹介されているので、結構便利だった。2012/01/08

悠々人

3
『坊っちゃん』は江戸っ子か?、三四郎の恋愛観等、面白いです。2014/09/02

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