中公新書<br> ハプスブルクの実験―多文化共存を目指して

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中公新書
ハプスブルクの実験―多文化共存を目指して

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012234
  • NDC分類 234.6
  • Cコード C1222

内容説明

五千万の人口に十一の言語集団。東欧に君臨した多民族国家ハプスブルクはアウスグライヒ体制の下、憲法に各民族の平等を謳い、その実現のために様々な工夫を導入した。軍隊の配置と移動、役所での使用言語、小学校の設置と教育、選挙区の区割り―。しかし巧妙につくられた各民族の均衡は第一次大戦で崩壊し、その後に独立した諸国家にハプスブルク五十年の実験が継承されることはなかった。民族自決の理念と現実の乖難を問う。

目次

第1章 自立して対等にして共通―アウスグライヒ体制の構造
第2章 あなたの民族は?―統計と民族
第3章 もしも兵士になったら―軍隊と民族
第4章 役所で―行政と民族
第5章 少数民族系小学校のつくり方―教育と民族
第6章 民族は比例的に代表されるか―議会と民族

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

富士さん

3
近代的な国家の枠組みの中で多文化の共存を目指した墺洪二重帝国、中でもオーストリア帝国側の歴史を実験と捉えて描いた一冊。別の本を読んでいるとこっちが気になって何度目かの再読です。一つの国に二つの政府という日本に住んでいると思いもつかないこの国の試みは、国という存在がもっと多様で有り得るのだということをワタシに教えてくれました。著者はこの実験は結果的に失敗したと捉えておられるようですが、J.B.チトー政権がその実験を引き継ぎ、この地域では現在も文字通り死活問題として実施中の実験なのではないかと思います。2014/05/07

jdrtn640

1
図書館から貸し出しで読んだからアレだけど、増補改訂版が出てたのか。タイトルは、「アウグスライヒ」というキーワードを入れた方が良い気がしましたね。あと本書では、一貫してドイツ語をメインに使う人たちは「ドイツ人」と呼んでるけど、ドイツと一緒になることが国際情勢上許されなくなった第二次大戦後まで「オーストリア人」という意識は芽生えてなかったということなんですかね?2016/05/10

samandabadra

1
増補版が出ていることを、ここで検索していて知る。民族政策のさまざまな実例を見るのに面白い本でした。特に108ページの「ハプスブルグ軍は戦争してはならない軍隊だった」というのは非常に面白い指摘でした。2011/12/21

dogu

0
多民族国家である事実を認識しそれに対応しようとした帝国の姿。やろうと努力すること、やろうとしないことの差。2017/08/01

ろい

0
王政が古くなって民主化する中で、ハプスブルクという古い帝国が民主化に併せてどう立ち振る舞ったかという研究。多民族国家の上に、国内に二つの形態の違う国を併せ持つ複雑な国家をうまいこと乗り切った歴史をひもとく。 なにより国が崩壊した後の民族自決による各国の有様を見て、民族自決を否定するのはなかなか新鮮だった。2016/02/03

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