中公新書<br> ラ・マルセイエーズ物語―国歌の成立と変容

中公新書
ラ・マルセイエーズ物語―国歌の成立と変容

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  • サイズ 新書判/ページ数 242p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011916
  • NDC分類 767.535
  • Cコード C1222

内容説明

一七九二年四月、好戦気分の〓揚するストラスブールで、文人肌の工兵大尉ルジェ・ド・リールの手によって《ライン軍のための軍歌》が作られ、瞬く間に口伝えで広まった。テュイルリー宮殿攻撃で名を馳せたマルセイユの義勇兵たちが歌い続けたことで《ラ・マルセイエーズ》と呼ばれるようになったこの歌は、紆余曲折の末、遂に国歌と決定される。一夜にして生まれた歌が、どう伝播し、評価され、制度化されていったのかを辿る。

目次

第1章 《ラ・マルセイエーズ》の成立
第2章 作者ルジェ・ド・リール
第3章 《ラ・マルセイエーズ》の秘密
第4章 国歌への道
第5章 主題と変奏
第6章 《ラ・マルセイエーズ》の現在

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おMP夫人

12
いざ祖国の子らよ、栄光の日は来たれり! 世界で1、2を争う勇ましい国歌のラ・マルセイエーズ。日本がこれと張り合うなら「宇宙戦艦ヤマト」あたりを用意するしかないでしょう。1792年のストラスブール。パーティーでのムチャ振りから一夜で生まれた「ライン軍のための軍歌」が遠く離れた南仏の港町マルセイユに伝播し革命のテーマ曲となり紆余曲折の後、国歌となる経緯はもちろん、作者ルジェ・ド・リールの人生にも数奇なドラマがあります。音楽家の著者ならではの音楽ネタも多く、これがまた面白くみどころたくさんで満足しました。2013/04/26

崩紫サロメ

7
「作曲家」という立場からラ・マルセイエーズについて論じたもの。ゆえに、歴史学から見た「国歌の成立と変容」からすると違和感のある点や抜け落ちている点も多かったがそれはそれで面白い。貴族であるルジェ・ド・リールの作ったこの歌が革命歌となり、次第に「体制側」の歌と認識されていくこと、新たな革命歌としてインターナショナルが作られ、世界に広がっていくこと。ロシアや中国の革命時にもラ・マルセイエーズが歌われたことなど。2019/11/18

Nemorální lid

5
武器を取れ、市民諸君!隊伍を整えよ!…歌詞が暴虐とも残酷とも言われるフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』の歴史を追った当著であるが、国歌制定までの紆余曲折が凄まじい事を知り、更にフランス国歌の崇高性を確信出来たと思う。『虐げられた人々が、止むに止まれず立ち上がった時の自由の叫びが《ラ・マルセイエーズ》であった』(p.233)の通りで、フランスだけでなく諸外国でも多くの人々によって歌われてきた。作曲者ルジェ・ド・リールの天性とも言える名曲の影に眠る血の歴史こそ、決して風化させてはいけない"自由の歴史"である。2018/09/19

鬼山とんぼ

2
私はフランス系の会社に10年余り勤めていた。維新期に活躍した人物で一番好きなのは蝦夷共和国を目指した榎本武揚であり、佐々木譲が書いた『武揚伝』のラストで政府軍に投降する彼が「共和国、万歳」と叫び、仲間がラ・マルセイエーズを歌って送ったシーンに涙が止まらなかった。そして五稜郭戦争まで榎本と行動を共にした幕府の軍事顧問ブリュネを描いた佐藤賢一『ラ・ミッション』のラストでも、『武揚伝』の韻を踏むようにラ・マルセイエーズが流れている。裏面史を教えてくれているこの本を読めて嬉しく思っている。2021/09/25

dogu

1
「ラ・マルセイエーズ」とその作者ルジェ・ド・リールが辿った数奇な歴史と運命。時代によって変化してきた受け留め方と変わらないもの。最初の旋律や詞・編曲から今への変遷など。2022/05/16

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