中公新書<br> 都市の論理―権力はなぜ都市を必要とするか

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中公新書
都市の論理―権力はなぜ都市を必要とするか

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  • サイズ 新書判/ページ数 229p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011510
  • NDC分類 361.78
  • Cコード C1231

内容説明

現在、世界は未曾有の繁栄を享受する一方で、歴史上かつてない膨大な飢餓人口をかかえている。しかも、第一次産業への就業率の高い国ほど食糧事情が悪化し、都市化した国ほど飽食するという傾向は顕著である。食糧を消費する側の都市より生産する側の農村が飢えに苦しむというパラドックスはなぜ生じるのか。本書は、食糧という人類の根源的課題を軸に、権力の鏡としての都市の可能性と役割を斬新な視覚から問い直す試みである。

目次

序章 都市と人類の発展―人間の鏡としての都市
第1章 都市とは何か―都市と権力の概念と論理
第2章 都市の建設―都市形成の論理と権力
第3章 都市の威容―舞台としての都市
第4章 上演されるドラマ―人間・国家・秩序
第5章 都市の思想―都市的人間と反都市主義
終章 都市論の新たなパラダイムを求めて―都市へのもうひとつの視角

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふみすむ

16
「都市は食糧を生産しないにもかかわらず、通常食糧を生産する農村よりも飢えない」都市社会学者の著者が自身の研究をまとめた『都市と権力―飢餓と飽食の歴史社会学』の内容を、一般向けに書き直したもの。都市は、行政学はもちろん、地理学、経済学、歴史学、建築学などの様々な分野からアプローチされているが、本書は都市の「飢えにくい」構造を足掛かりにして、「支配」と「保障」を行う権力装置としての都市を描出する。2017/03/31

アメヲトコ

7
93年刊。都市を成り立たせる原理を権力との関わりから考察した一冊。都市と農村の非対称性など、いくつか面白い指摘はありますが、著者が歴史学ではなく社会学が専門であるからか、全体に超地域的、超時代的な言い回しが目に付きます。もう少し具体の世界に分け入るような分析が必要なのでは。2018/09/21

ミツ

6
食糧問題を軸に、都市と農村、権力の在り方について新旧洋の東西を問わず論じた著作。 取り立てて目新しい主張やアクロバティックな論理の飛躍はないが、バビロン、長安からパリ、東京、果てはピョンヤン、プノンペンまで他では余り触れられない都市まで視野に入れて分析しているのは良かった。 権力は支配と保障の二面性を持ち、都市の歴史は最大の保障を最低の支配でもたらす権力を作り出すことであるという見方も一貫していて、飢餓とからめた都市と農村の関係も解りやすく解説されている。 2010/03/13

トマス

5
都市と農村を比べると、食糧を生産しているはずの農村で飢餓が発生しやすい。農産物を輸出する発展途上国が飢餓に見舞われても、私たちは何不自由なく生活している。食糧生産をやめた人々が大規模に集住する「都市」はどのように発生したのか。言われてみれば不条理な問題を、権力という視点で読み解く。強者がルールを決めるために弱者が割を食うのはいつの時代も同じこと。都市の論理に必然性があるからこそ、格差問題の根の深さが見えてくる。23年前の著作だが、経済格差の拡大や東京一極集中による過密化が叫ばれる今、読む価値は十分にある。2016/08/20

わたる

5
食糧を消費する側の都市より生産する側の農村の方が飢餓に苦しむという矛盾の解明を主題に、都市と権利、農村の関係を論じている。著者によれば、権力が都市を建設し、農村は都市によって規定される。さらに、その都市が恒常的に考えねばならなかったのは食糧の問題であり、その確保のために農村は農業生産を上昇させたと述べる。古代から現代まであらゆる地域の都市を扱い一般化する点は画期的だが、時代・地域ごとの違い、わけても前近代と近代以降の時代差を無視してもいいのだろうか。2012/10/01

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