内容説明
一九九二年九月、日露両国外務省は、日ソ・日露間の最大の争点である北方領土問題についての歴史文書資料集を共同刊行した。今後の日露交渉の土台を提供する画期的な協力作業である。本書は、このように合意された全資料三十五点の背景と意義を分かりやすく解説することによって、十七世紀からエリツィン時代までに及ぶ両国の対立点と合意点の両方を客観的公平に浮彫りにし、さらに今後の解決へ向けての具体的提言を大胆に行なう。
目次
序論 領土紛争
第1章 国境概念への目覚め
第2章 北からの黒船―国境の画定
第3章 武力による国境変更
第4章 国交正常化へ
第5章 高齢指導者たちの時代
第6章 ゴルバチョフ時代
第7章 エリツィン時代
結論 領土紛争解決法
感想・レビュー
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Haruka Fukuhara
2
ソ連って色々と酷い国だったんだなーと思った。ちょくちょく日本の国民感情を逆なでしてくる歴史は昨今のどこぞの国を彷彿させる。ソ連からロシアに代わって何が変わって何が変わらないのか、信頼できるパートナー足り得るのか気になるところ。冷静な記述でいい本だと思う。1993年刊。2017/02/20
紙魚
0
国境交渉史と題されているが、全編で解説されているのは所謂、北方領土についてである。条約の文章解釈からクリルがどこまでを指すかを争うことの不毛さを感じていたので、実際の交渉において、双方がどんな認識で臨んでいたかに重点が置かれているのはよかった。固有の領土、という言葉の限界はさておくと、やはりどうしても北方領土がロシアに占拠されている現状は打開すべきものと思われる。それは国民国家、主権国家の面子であり、存在意義であるだけでなく、日露のこれからの極東におけるパートナーシップのしこりを取り去るためにも必要である2009/03/10