内容説明
誕生時点から現実の課題にさらされ続けた長い歴史を有する医学。その医学と医学史こそ、これからの学問のモデルだと認識した気鋭の数学史家が、基礎医学の広汎な分野で活躍し、医学史分野でも画期的な業績を上げている碩学に、医学の史的展開について問いかける。対極的な専門分野にもかかわらず、脳死等の現実的課題への対応には歴史的反省の上に立つ理性的観点が必要だ、という共通の足場を確認し合い、知的対話の有効性を実証。
目次
第1章 病い、そして癒しの術と学
第2章 医学史への道
第3章 医学史と数学史―あるいはカオスとコスモス
第4章 日本の科学史・世界の科学史
第5章 変貌する現代医学
第6章 臓器移植医療をめぐる省察
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
脳疣沼
1
科学史家として佐々木氏が鋭い質問を川喜田氏に投げかけているが、しかし、別段、数学史と医学史の対話にはなっていないように思う。医学が主である。2015/09/27
naoto
1
正しくは「医学史"家"と数学史"家"の対話」ですね。数学史はいくつか読んでますが医学史は全然読んだことない…でも、医学史も数学史も、あまり出てこなかったですね。最後の臓器移植に関して「悲しい手術」という表現があったのが印象的。2015/05/18
Schuhschnabel
0
医学史と数学史の接点というのはほぼないと言っていいと思うが,科学史という土台の上で実りある対話が成立しているところに両氏の教養の高さが見てとれる。理系はともあれ,文系の学問がタコツボ化しては新たな発見は出てきにくいなという実感をもった。内容については,医学史ビギナーでも雰囲気くらいは嗅ぎとれた。特に,科学史・科学哲学と実際の科学とが遠ざかりつつあるという佐々木氏の指摘が印象的だった。ある程度勉強してから読み直すとまた違ったものが見えてくるのだろう。2016/12/22