内容説明
これまで一貫して高成長を持続してきた日本企業をとりまく経営環境は、いま大きく変わりつつある。まず、どのような領域を自社の存在領域として構想するか、という戦略決定が改めて問われており、成長の方向性について主体的展望をもち、意識的に全社的な事業構成の定義と組み替えとを行なうことが不可欠となってきた。本書は「ドメイン」というキー・コンセプトによって、それが如何になされるかを、具体例を通して考察する。
目次
序章 ドメインの定義(企業の構想の大きさ;組織体のドメイン;事業領域と戦略領域と;日本における重要性)
第1章 ドメインの構成次元(ドメインの物理的定義と機能的定義;アメリカの鉄道会社の失敗;ドメインの変化;ドメイン・コンセンサス;ドメインのおもな構成次元)
第2章 アメリカ企業の事例(事業領域の急激な変化;IBM―全方位成長戦略とその修正;ゼロックスのOA戦略)
第3章 日本企業の事例(企業の自然な成長;自然成長的な事業展開の限界;「構想主導型」経営の事例)
第4章 企業と社会の相互作用(製品の意味領域;相互作用的意味創造;オーバーシューティング〈飛びすぎ〉;意味の余剰と引き込み;停泊とスキーマの提供)
第5章 企業組織とシンクロニゼーション(理想の組織のイメージ;企業におけるシンクロニゼーション;新たな意味の広がりへ向けて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
62
「ドメイン」という言葉が使われ始めたのはいつ頃のことでしょうね。最初接したときには何を言っている言葉かわからなかったのですが、この本を読んでやっと概念がわかるようになったことを覚えています。今でこそ様々な本にこの言葉が普通に使われていますが当時は理解が難しかったように思いました。この本は小冊子ですが海外企業などの事例も掲載されていてわかりやすいと思います。2015/09/18
Ryo
3
トヨタがダイムラーに遅れること約10年。事業ドメインを自動車屋からmobility companyへと変更した。事業ドメインとは、行動の幅を広げもするし、抑制もする。事業を行う為に設ける指標の様な物だ。ここで大事なのは、自らが設定するだけでは無く、事業体のメンバーや顧客とある外部ともドメインコンセンサスだ取れているということ。コンセンサスが無ければ絵に描いた餅にしかなり得ず、自らを攻撃する剣となる。また、当初効果的であったドメインも一般化される事で効果を失う。1992年に書かれた物だが、普遍的な内容。2018/07/14
M氏
1
ドメインコンセンサス、レゾンデートル、初版から25年経った今でも陳腐化していない本でした。著者の榊原氏が小樽生まれで小樽商大の経営協議会の学外委員もされていることを知りびっくり。2016/01/29
lovelymarin
0
2回目2017/02/01
lovelymarin
0
1回目終了2017/01/26