内容説明
「科学とは何か」をラディカルに問う名著12冊のブックガイド。
目次
ホワイトヘッド『科学と近代世界』
バシュラール『否定の哲学』
シュレーディンガー『生命とは何か』
マンハイム『イデオロギーとユートピア』
ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
ポパー『推測と反駁』
ハンソン『科学的発見のパターン』
クーン『科学革命の構造』
ファイヤーベント『方法への挑戦』
サックレー『原子と諸力』
大森荘蔵『物と心』
広重徹『科学の社会史』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
4
取り上げられるのは、ホワイトヘッドやウィトゲンシュタイン、ポパー、クーン、大森荘蔵など。「ポパーは、フロイトやアドラーの精神分析理論は、どんな人間行動をも説明でき、この理論と矛盾するような事態を想定することができないような構造になっている点で、反証不可能であり非科学的であると主張」○ハンソン「物理学者が…何かを観察するとき…先入観を捨て、偏見を捨てて、ありのままの世界を…眺めているどころか、むしろ、物理学を学んだ結果として…貯えられた特定の「偏見」を動員し働かせて、「解釈」している、ということになる」2016/12/03
にゃん吉
2
斯界の大家村上陽一郎氏の編集のもと、複数の方が分担して、科学論に関する名著を紹介するという構成です。最初のホワイトヘッドのところで挫折し、長く積ん読になっていて、今回も苦戦したのですが、そこを読み終えたら、その後は、比較的読みやすく、興味深く読了。個人的には、大森荘蔵の思想が独特で、特に興味深くありました。中公新書には、「~の名著」が種々出版されていますが、本書は、面白い部類かなと思われました。2021/01/22
オランジーナ@
1
すごくどうでもいいけど、パシュラールと誕生日が同じ。大森荘蔵が、アメリカに留学していた時期にウィトゲンシュタインの講義ノートである青色本を借りパクし、それを日本に持って帰ってテキストに使った。それで、日本のウィトゲンシュタイン熱が盛り上がったって話がおもしろかった。2017/07/21
えむ
0
現代科学論の古典をコンパクトに解説。村上陽一郎氏が半分近くを執筆。あまり明るくない分野なので、知識整理に役立った。2016/07/27
茶幸才斎
0
紹介される「名著」は、例えばシュレーディンガーの物理化学的生命像であり、ウィトゲンシュタインの語るべきものであり、ポパーの反証可能性であり、クーンのパラダイム理論であり、ファイヤアーベントの相対主義であり、大森荘蔵の立ち現われ一元論であり、あとは私の知らない6つである。緒言が面白い。これが抜けているとの批判もあろうが、人により影響を受ける書物は違うし、執筆陣にはこれはというのを選んで書いてもらった、だから遺漏もやむを得ない、と変な弁解をしている。途中で気付いたのか。この企画を新書でやるには無理がある、と。2013/10/09