感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
70
小説「阿片戦争」を書いたのちとして、アヘン戦争をめぐる英清の人々の対応を描く。北京政府の甘すぎる考え。面白い本だが、これで当時、毎日出版文化賞を受賞したというのが、あまりよくわからない。娯楽小説作家が、新書で真面目な歴史書を書いたことへの評価だったのかな。2023/10/28
糜竺(びじく)
28
英国は紳士の国であると聞きますが、アヘン戦争の事を知ると、一体どこが？と思えてきます。1800年代前半にアヘン(麻薬)をどんどんと中国に英国は密輸してたわけですが、清廉潔白で実行力、決断力に富む大臣、林則徐がアヘンを徹底的に取り締まったわけです。正しい事をしているのに、それにキレた英国が中国に戦争をしかけて、勝ちまくりやりたい放題、全くの不平等条約を中国に突きつけるという強盗と変わらない事を行った事が書かれています。この本を読んで、とても憤りを覚えましたし、人間の醜い部分を知らされた一冊でした。2013/12/28
金吾
22
アヘン戦争の背景がよくわかります。この冬至のイギリスの悪辣さを見ると帝国主義が何でもありというのが印象に残りました。中国からしたら欧米が今さら綺麗事言うなと感じても致し方ないかなと思いました。2024/02/18
寝落ち６段
4
アヘンは恐ろしい麻薬だ。それを商品として売る。大学生の時分に、講義で「阿片戦争」という映画を見た。カラーなので、新しい方。アヘンによって蝕まれる民衆の心身がおぞましく、その依存性も怖かった記憶がある。使われるほどに販路が広がるアヘンは、莫大な利益を産むわけだ。清朝が林則徐を欽差大臣としてその取り締まりをさせる。それに対して、軍事攻撃を行うイギリス海軍に、旧式の兵器しか持たない清朝は、為す術もなかった。アヘン戦争が、世界史にもたらした影響は大きい。日本は外国の勢力を意識し、欧米がアジアへ侵攻する。2019/02/26
う みの
2
中国歴史小説では右に出るもののいない著者が、悪名高いアヘン戦争の実態に迫った力作。改めて、当時の大英帝国の傍若無人ぶりには開いた口が塞がらないといったところ。一方で清内部の腐敗も覆い難く、林則徐ら心ある革新官僚が現場で合理的な判断を行っても、最高意思決定の場である北京宮中では、文字通りの君側の奸どもが根拠のないこびへつらいで事実を捻じ曲げる。最高権力者の道光帝も危機に対応できるだけの能力は皆無で、自身の命令が失敗すると即座に現場に責任を取らせる典型的なダメトップ。軍事力の差が歴然である上にこれでは……2020/11/04
