出版社内容情報
わけありの女たちを診療するおゑんの許へ、何かを極度に怖れている妊婦が訪ねてきた。彼女は目を血走らせ、十両を差し出しながら言った。「お願いします。この子を産ませてください」と――。
後日、吉原惣名主に依頼され診ることになった女郎も、奇矯な妊婦だった。大店の主人に身請けされることが決まっていて、その子を身籠っていながら、「産みたくない」と叫び自死しようとしたのだ。
彼女たちは何者で、何故、一人は出産を望み、もう一人は出産を拒否するのか? 疑念がきざしたおゑんは、遊女連続死を調べる過程で親しくなった吉原惣名主の用心棒・甲三郎とともに、また謎を追うことになったが……。
「読売新聞オンライン」人気連載、待望の書籍化。
内容説明
吉原惣名主の川口屋平左衛門に「診てもらいたい」と頼まれた遊女・桐葉は、奇妙な女だった。彼女の言動に疑念を抱いたおゑんは、廓の用心棒・甲三郎や薬草に詳しい末音らの力を借り、その謎に迫ろうとするが…。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師を経て、91年に作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー1~6』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
127
なんてこったい。惚れられ惚れて身籠って・・望まれて上がりの人生を生きるはずの遊女・桐葉。まさかの来し方があったなんて。生きるとはそれだけで罪咎だと言うのか。誰かの声に煽られた力は生贄を以って、それを見ていた子どもの頃の記憶は消せない―嗚呼、苦しい。それでも刻まれた悲惨な記憶に蓋をするのではなく、生き直す力をくれるのは赤子の温もり、命の鼓動なのだ。こんな展開を用意してるなんて、流石のあさのさん。闇医者おゑんシリーズの最新刊はズシリと応える面白さだった。2024/04/10
hirokun
26
★4 あさのあつこさんの時代小説は好きで、新刊を中心に読んでいる。今回の作品もシリーズ物で、闇医者おゑんと江戸吉原で暮らす人々の関わり合いを推理小説風に描いている。人は良くも悪くも、美しくも醜くも変わるであるが、兎に角、何としても生きていかねばならないということがこの作品の基盤に流れている価値観なのだろう。いつも通り読み易い文章で語り、いつの時代においても、どんな人においても本質を極めようとする作者の姿勢は心地よい。2024/04/13
フロッグ
8
好きなシリーズ。おもしろかった。最初はちょっとホラーっぽいのかと思ったけど、理由が分かってなんとも切なく憤りも感じて辛かった。一件落着で良かった。2024/04/16
ekoeko
2
お竹が何かのキーワードになるのかと思ったがそうでもなかった。2024/04/20
檸檬
1
Good.『人は生きねばならん』『目を凝らし、為すべきことをいく』が心に残った言葉。さ、今日も草取りをしようか。2024/04/04