出版社内容情報
27年間勤めた会社をリストラされ、妻や娘から疎んじられる男は、自らの手で野草を摘み魚を採り始めると、新しい人生を見つける
内容説明
芦溝良郎は、社内野球大会で常務の頭部へ投球を当ててしまった翌日、二十七年間勤めた「王崎ホーム」からリストラを宣告されてしまう。そして出向先として斡旋された人材派遣会社では、仕事をするどころか自分が派遣社員として登録される始末。妻からは、隣近所や娘の手前出勤しているふりをするように命じられる。そんなある日、絶望する四十九歳無職の男に、一つのアイディアが…。
著者等紹介
山本甲士[ヤマモトコウシ]
1963年生まれ。96年横溝正史賞優秀作『ノーペイン、ノーゲイン』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aya Murakami
132
野草料理のおすすめ本サイトで紹介。 野草料理までが長かった。リーマンショックの頃の話だよなぁ。嫌な事件だった。 ドングリに食べやすいものがあるのは大学時代に教授に教えてもらったことがあります。ノビルはいろいろな作品に登場する王道野草。ブラックバスはおいしいことを知っていたけどブルーギルは初耳。生け簀や水槽で飼うのは多分外来生物的にアウトだったはず。 ひなたでテイクアウトの弁当いいですね。2009年にはこんなことになるなんて分かるはずがなかったよ。2022/06/23
ぶんこ
63
騙されるようにしてリストラされた49歳の芦溝さん。 気の弱さや、妻、娘達の態度にイライラさせられましたが、変なプライドに邪魔されず、素直だったから道が開かれたような気がしました。 土手の野草、川魚を材料としたお弁当をだけでは、先が危なくないかな・・と心配にもなりますが、芦溝さんの素直で柔軟な姿勢が、何とかしていけると信じさせてくれます。 住宅ローンも終わり、子供達も大きくなっているので、食べていければという、欲の無いところがいいですね。2014/09/05
あつひめ
61
会社のために精魂使い果たした中間管理職のリストラ。現実に起こりうることだけに興味津々。会社では箸にも棒にもかからない。危ない橋は渡らなそうな主人公。リストラ対象も止むおえないかな?なんて思ってしまったけど、そこが長年サラリーマン社会で鍛えられただけあって、目標が定まるとガムシャラに向かっていく。これがあの冴えないリストラサラリーマン?と思うほど見え方が変わってくる。小説ってその変化を文字で感じさせるからすごいと思った。言葉の端端でいきいきした様子を読者に感じさせる。山本さん初読みですが楽しませてもらった。2012/02/07
アメフトファン
59
最初のリストラの場面ではどうなるのかと思いましたが、どんぐりを食べれる事を発見してから段々とたくましく前向きになっていく主人公が良かったです。そして自分が採った魚などを使ってのお弁当屋さんの開業。全てが出来すぎかな?とも思いましたが、前向きな気持ちにさせてくれたので全体的に良かったです。2014/07/29
はる
56
面白かったです。リストラされ、家族からも冷たくされてしまう中年サラリーマンが、ある事をヒントに変わっていきます。痛快ですっきりとした読後感。あまりに上手く行き過ぎるけれど、いいじゃないか小説だもの。文庫版もあるけれど単行本の表紙のほうが断然いい。2014/03/09