出版社内容情報
風に誘われ花に誘われ、一壺ならぬカメラを携え、ぶらりと歩き出した作家の目がとらえた幻想的な東京。『婦人公論』好評連載の紀行エッセイ、待望の単行本化。著者によるカラー写真多数収載。
内容説明
作家のとらえた幻想的な東京。
目次
自宅
早稲田へ
穴八幡
都電荒川線で
飛鳥山
王子まで
いざ、鎌倉か
慶西くんの車
雪ノ下
鶴岡八幡宮前
表通りはアッパッパ
ありふれた蕎麦店
江ノ電乗り場
仙境・蓬莱境参り
江の島で絶望
五右衛門でずんずん
絶頂
江の島を最後
岩屋
六根清浄
不毛な問答〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
61
今回、飄然せしと訪れたのは江ノ島、新橋から銀座、そして上野。新橋の(ポン ヌッフ)が出てきてわたし狂気乱舞!何より出色は都美術館での絵画鑑賞の場面。もう!(町田節炸裂)!こんな見方が出来たらどんなに楽しいかしら?!そして(超然)も(飄然)も実現は難しいものなんですね?2018/09/24
ほほほ
29
町田康さんのエッセイ?紀行?「作家のとらえた幻想的な東京」って表紙に書いてあるけどそんなんじゃないです、町田さんがぶつくさとみみっちいことを脳内でネチネチ言ってるだけ(笑)東京もあんまり関係ない(笑)一歩外に出るともう神経ピリピリになる町田さんに、飄然なんて無理です(笑)疲れてるときに読むと激烈にうっとうしくて、ギャッと本を投げ出したくなったけど、時間のあるときにのんびり読んだら、やっぱり1分に1回は笑えてかなり癒されました^ ^町田さんの人間性すごく好き。ご本人と奥様の撮られた写真たちも良かったです。2014/07/05
ぽち
11
町田版「阿房列車」。飄然としたい、と嘯き鎌倉に行ってうろうろして帰ってきたり大阪に行って串カツを食べそこなったりして帰ってきます。やっていることも書いていることもまったく無為なのだけど、そこは町田節でわらける。その昔、石野卓球さんが(瀧さんだったかな?)「テクノは体に悪い音楽」とおっしゃっていたのだけど、文学もわたしにとってはやっぱり「体に悪い」ものであって、いやそういうものを摂取したい、という欲望こそが芸術に触れようとする唯一つの動機なので、そういうのを満たすものではなかったのだけど、 2017/08/19
ホレイシア
11
「なぜ旅に出なかったのか、おっさん」に笑った。奇しくも著者がこれを記したのは、今の私と同じ41歳のときである。何やかや捕らわれて旅に出られない理由も、違うのは職業が物書きでないところだけ、パソコンがノートじゃないところまで同じである。で、著者は日帰りの旅に出ることにするわけだが、このまちを見る目線が何とも独特である。とても嘆いているようで、実は笑い飛ばしているのかなと思わせて、やっぱり嘆いているような(笑)。笑ったり考えさせられたり、いい本だが、やっぱり変な御仁だ(褒め言葉)。2009/06/02
amdd
6
町田康さんが飄然と旅に出て颯爽とエッセイを綴る。のわりには意外と近所(笑)布団のようなダウンジャケットを電車内で脱ぐに脱げず暑さに耐える修行僧のような町田さん、茶店でお店の人に黙殺され半泣きになって立ち尽くす町田さん、可愛い(笑)慶西さんとのコンビは、森見登美彦さんと明石さんとのコンビを彷彿とさせますなぁ。2012/08/01