内容説明
猫の哭き声天地に満つるとき大清帝国の礎が揺らぐ。ニャオニャオニャオ―。生は血の叫喚にむせぶ。想い浮かぶは孫家の眉娘の花のかんばせ、瞳は秋のさざ波か、紅唇皓歯のあでやかさ。水を得た魚のごとくからみ合い、裁きの部屋でまで情けを交わしたこの二人。第1回鼎鈞文学賞受賞。
著者等紹介
莫言[モオイエン]
1955年、山東省高密県に農民の子として生まれる。幼くして文革に遭い、小学校を中退。兄の教科書や旧小説で文学に目覚める。76年に人民解放軍に入隊。85年に『透明な赤蕪』でデビュー。翌86年、『赤いコーリャン』(張芸謀監督により映画化。88年、ベルリン映画祭グランプリ)で、倫理を超える農民の生命力を描いて、中国のマルケスと呼ばれる。以後、『天堂ニンニクの芽騒動』『酒国』『豊乳肥臀』『至福のとき』など、多作な作家として文壇の最先端を行き、現代中国でもっともノーベル文学賞にちかい作家といわれる。『白檀の刑』で第1回鼎鈞文学賞受賞
吉田富夫[ヨシダトミオ]
1935年、広島県生まれ。63年、京都大学大学院修了。現在仏教大学文学部教授、中国現代文学専攻
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