チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷

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  • サイズ B6判/ページ数 298,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106465031
  • NDC分類 237.04
  • Cコード C0322

内容説明

法王の息子というキリスト教世界での異端児でありながら、チェーザレは枢機卿にまで上り詰めた。しかし、その象徴である緋の衣を脱ぎ捨て、真の目標に向け進み始める。剣を手にした彼の野望は「イタリア統一」―父や縁戚フランス王の権威を背景に、自らの王国樹立のために権謀術数の限りを尽くした若者の鮮烈な生涯を描く。「毒を盛る男」と断じた歴史の評価に対し「マキアヴェリズムの体現者」「行動の天才」という新しいチェーザレ像を提示した、初期の代表作。初めて収録した著者自身による執筆当時の回想(メイキング)は、自伝とも言いうる内容で、塩野文学の核心を明かす好読物。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

23
チェーザレ・ボルジア。イタリア統一の野望を秘め、マキャヴェリズムの体現者でもある彼の短い生涯を追う。マキャヴェリがその著作のなかで理想の君主の1人と数えた理由もわかった気がする。ビジョンを持ち、その実現のために手段を問わない。才覚に恵まれた人物でも運命に見放されると再度の復帰は困難になるので、好機と見れば行動しなければならない。話とは全然関係ないがルネサンス期には力量と幸運の概念が共有されていたようである。2016/08/08

マッピー

17
チェーザレ・ボルジアってどんな人なのかというと、ルネサンス期のローマ法王の息子です。ええと…ローマ法王って結婚が禁じられています。→なのに子ども。そしてチェーザレのお母さんは、人妻です。→もちろん法王の妻ではない。つまり、2重に罪の子なわけです。そんな彼が、イタリアを手中に収めようと戦いに明け暮れる半生。何を言っても推論でしかないけれども、私は、チェーザレは何か確固としたものが欲しかっただけなんじゃないかと思いました。事実パパが亡くなってからチェーザレの運が尽きるまでの速さよ。なんか切なくなりました。2021/05/11

なつきネコ

10
実は三度目の再読。別カバーを登録しているのが登録します。精力的に謀や戦へと向かう短い人生の中でしたことを考えると、凄まじい。敵対者達が怯え、陥れようとする中でもチューザレは耐え、糸口を離さずに逆転する。そんな彼も、父の死後は神に見放されように坂を転げ落ちていく。今までの彼とは考えられない。運命は時勢を見抜く目すら奪ったかのようだ。最後すら、軍を引いて立て直し戦えばいいものを、下手に負け知らずだったからこそ引くことができずに死ぬ。しかし、この小説は塩野さんのチューザレへのラブレターのようであり、切ない。2021/06/14

くみこ

9
ルネサンス期、ローマ法王の父を後ろ盾に、イタリア統一の野望を持ちながら短い生涯を終えた青年の物語。冷酷にして残虐。そんなチェーザレも内面は実は魅力的だった、という作りではなくて、史実を踏まえたな背景描写の中に、マキアヴェッリやダヴィンチとの関わりも含め、チェーザレ・ボルジアの政治的手腕を克明に記しています。「自らを語ることが極度に少ない」権力を持った男の、所有と征服の凄まじさが圧巻です。巻末のメイキングも含めて、読み応えがありました。2016/01/13

ポテンヒット

7
漫画の「チェーザレ」が滞っているのでこの本を読む事にした。小説だけど歴史書のようだった。塩野さんは初読みだけど、こんな感じなのかな?国盗り合戦、政略結婚、裏切り、復讐…まるで日本の戦国時代の話のようだ。ダヴィンチとの都市計画は実現してほしかったなあ。現存していれば世界遺産になっていたかも。チェーザレのお父ちゃん(法王)を中心に据えて彼から見たチェーザレを描くと、より彼の頭の良さと冷酷さが際立つような気がした。2021/06/19

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