内容説明
そこには、混迷を脱した人びとがいた。30年におよぶルネサンスへの熱情を注いだ最新の文明論。フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアと、ルネサンスが花開いた三大都市を順にたどりながら、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、フリードリッヒ二世やアルド・マヌッツィオなど「ルネサンス」を創った人びとの魅力と時代の本質をわかりやすく説いた、最高の入門書。
目次
第1部 フィレンツェで考える
第2部 ローマで考える
第3部 キアンティ地方でのグレーヴェにて
第4部 ヴェネツィアで考える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイク
95
著者の初期の作品であったためか、ルネサンスという抽象的な物なのか読み難いというのが第一印象だった。それでも対話形式という手法で少しは分かり易く解説した努力は感じられた。中世の時代にあってイタリアのフィレンツェ、ローマそしてヴェネツィュアという都市国家は独自の発展をとげた。狭い範囲で権力者が文化に関心を寄せたからこそ文化や芸術に花がさいたのであろう。特にレオナルド・ダ・ヴィンチのように「見たい知りたいわかりたい」と望んだ人間がその才能を多方面に開花したように、多くの人材が輩出し受け入れた時代であったのだ。 2018/04/05
カザリ
46
ぜんぜん、ルネサンスとは何であったのかわからないので、首をかしげたら、これシリーズ!!?7巻まであるし。。だからか、なんかわかんなかったよ。。とりあえず、フランチェスコとフリードリヒ2世がカトリック教会がゆがめた宗教観念を突き崩すために原点回帰をしようと頑張ったということはわかった。フランチェスコが新興勢力である商人階級に「無理するなやれる範囲で信仰しよう」と言ったことがどれほど救いだったか。。まあ心理的な側面も多いだろうけど、現実的な宗教との距離感にほっとしたから支持したのだろうな。2015/09/05
kawa
31
刺激的な塩野流ルネサンス解説。ルネサンスとは自分の生き方を疑うことだという。何より凄いと思うのは、既成のキリスト教の考え方に異を唱えた聖フランチェスコ、宗教の関与する分野と関与すべきでない分野を明確にする政策(「ライコ」思想)をとった神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世の二人を解説の冒頭に持ってきたところ。この後にフィレンツェ、ローマ、ヴェネツィア400年に渡る芸術家や、その流れの延長として大航海時代の動きまで解説を試みるのだが、非常に説得力の高い記述。(コメントへ)2020/07/15
ぐっちー
23
対話しながら考える。フィレンツェで、ローマで、トスカーナ、そしてヴェネツィアで。神にすがりながら生きることより、自分の足で立って歩きたいと自覚した時代。その人間たちの意思の高さがイタリアの都市に大きな花を開かせた。美術の解説はすまい、と塩野さんはこれらを生んだ街、その時代を築いた人といった土壌を解説してくださった。外堀は埋まった!さあ、旅に出て本物を見てこよう!2016/01/30
星落秋風五丈原
9
全7巻で構成される塩野七生ルネサンス著作集の第1巻。ルネサンスものを書き続けてきたからこそ書けるルネサンスとは何であったか。ルネサンスの本質、そして改革の時代を生きる我々がそこから学べることを明確に示している。そして フィレンツェ、ヴェネツィアと都市を移るにつれルネサンスの中味が変 わってゆく様を非常にわかりやすく、対話形式で描いています。2001/07/08