内容説明
20代の処女作から太宰治賞受賞の『星への旅』まで。生と死を見つめる吉村文学の原点を示す初期作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さわ
7
作者24〜39才に発表した短編集。死、死、死。死に取り憑かれた本。解剖、轢死、ヌードモデル、ヒヨコ等似かよった所が多く、この頃の吉村さんに何かあったのかと思った。【図書館本】2022/05/30
Ryoichi Ito
6
作品集第1巻は吉村昭24歳-39歳の短編14篇。ほとんどが死にまつわる物語。読んで気持ちのいいものではない。1966年に『星への旅』で第2回太宰治賞を受賞。この年に長篇『戦艦武蔵』が『新潮』に一挙掲載され作家として本格デビューを果たした。『星への旅』は,人生の目的を失った数人の若者が集団自殺する話だ。これが文学賞になった理由がわからない。2022/05/05
しおつう
1
吉村昭初期作品集ということだが全てにおいて〃死〃がテーマとなっている。とりわけ鉄道による轢死と死体の解剖が絡むことが多く当時の筆者との何らかの因果関係が想像できる。表題作の2作はやはり突出しているように感じたが少女架刑は語り部が死体となっており、星への旅は一時期流行った集団自殺を扱ったものである。透明標本は少女架刑と同時進行している感じ。作家として成熟後の短編集も読んでみたい。2013/10/30
佐藤 亮一郎
0
死というものをここまで突き詰めて描いた小説を私は今まで読んだことがなかった。これらが吉村昭24歳から39歳までの間に書かれたという事実に戦慄せざるを得ない。もしかすると、小説を書くときに抱く感情は、死に対して抱く感情と同じものなのかも知れない。2017/11/28