内容説明
喜怒哀楽とともに、誰しも無縁ではいられない感情「嫉妬」。時に可愛らしくさえある女性のねたみに対し、本当に恐ろしいのは男たちのそねみである。妨害、追放、殺戮…。あの英雄を、名君を、天才学者を、独裁者をも苦しめ惑わせた、亡国の激情とは。歴史を動かした「大いなる嫉妬」にまつわる古今東西のエピソードを通じて、世界史を読み直す。
目次
序章 ねたみとそねみが歴史を変える
第1章 臣下を認められない君主
第2章 烈女の一念、男を殺す
第3章 熾烈なライヴァル関係
第4章 主人の恩寵がもたらすもの
第5章 学者世界の憂鬱
第6章 天才の迂闊、秀才の周到
第7章 独裁者の業
第8章 兄弟だからこそ
第9章 相容れない者たち
終章 嫉妬されなかった男
著者等紹介
山内昌之[ヤマウチマサユキ]
1947(昭和22)年札幌市生まれ。東京大学大学院教授。学術博士。国際関係史とイスラーム地域研究で、サントリー学芸賞、毎日出版文化賞、吉野作造賞、司馬遼太郎賞などを受賞
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感想・レビュー
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hit4papa
55
嫉妬の視点で世界史を切り取ったものです。歴史は夜作られる、でななくて、歴史は嫉妬で作られるを、洋の東西の文献から証明を試みています。ただし、嫉妬があったんじゃね?ぐらいの想像の範疇ではありますね。大きく歴史が動いた嫉妬もあれば、これでは歴史は変わらんだろという細やかな嫉妬による出来事も記載されています。軽い読み物としては最適ですが、ここから何かを学び得ようするとハズしてしまうでしょう。歴史の断片がトリビアとしてばら撒かれているような印象を受けます。なので、長く記憶に留めて置くのは辛いかもしれませんね。2020/10/26
Y
31
本書は「嫉妬」を切り口に世界史を論じるというもので、取り上げられる人物は国と時代を越えて幅広い。才能に恵まれて出世していく者は、周囲からの嫉妬によって不運な結末を辿る。世の中をうまくわたっていくためには、才能以上に周囲の反応を受け取れる感受性の高さや人に反感を持たれないためのふるまい方が重要だということがわかった。政治家、軍人、学者など様々な社会における嫉妬を紹介していたが、それによりそれぞれの社会のちがいなどもわかり、とても興味深かった。2013/01/04
fu
23
人々は成功者をねたみがち。歴史上の人物に焦点を当てて、嫉妬にまつわるエピソードをまとめた本。森鴎外、牧野富太郎、島津久光、ロンメル、カエサルなど登場。ではどうすれば嫉妬を避けられるのか?という問いに対応するのが終章のみで、考察が少ない点が若干物足りない。2015/02/03
kakoboo
20
いくつかの事例は聞いたことがありますが、多くのリーダー(分野問わず)が嫉妬によって他人の人生や国家の行く末を変えてしまうような事象が記載されており、大変興味深かったです。今日の社会でも自己顕示欲や妬みは当然存在しておりますので、この本を読んだからといって嫉妬にうまく対応できるとは思いませんが、一歩引いて考える良い機会になりそうです。最終章に保科正之氏を取り上げてまとめているのは非常によかったです。 引用の見方がわかりづらかったりあとがきがなかったりと編集として残念な箇所があったことがやや残念です。2018/01/12
中年サラリーマン
18
古今東西の嫉妬を集めた本。特に男の嫉妬は陰険で粘着質ですな。かといって嫉妬というものはしないようにしようと思っても無理。そんなこと言ってる奴は嘘つきです。知らず知らずの内にやってしまっている嫉妬。気づいた時に「今、やってしまっているぞ自分!」と自分に注意していかなければ!この本を読んで自分に戒めです。2014/04/06