新潮選書
自然はそんなにヤワじゃない―誤解だらけの生態系

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  • サイズ B6判/ページ数 175p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106036392
  • NDC分類 468
  • Cコード C0345

内容説明

ブラックバスは排除し、サケの放流は推奨する。トキの心配はするが、そのエサとなっている稀少なカエルには冷たい。ご都合主義の生態系観には枚挙にいとまがない。人は、かわいい動物、有益な植物はありがたがり、醜い生き物、見えない微生物は冷遇しがちだ。人類が生き延びるには、生物の多様性を心配するより、公平な生態系観を確立することが大切なのだ。

目次

第1章 生物を差別する人間(邪魔者扱いされる雑草;すばらしい庭でしょう ほか)
第2章 生物多様性への誤解(生物多様性と直感;プランクトンは殺虫剤にどう反応したか ほか)
第3章 人間によってつくられる生態系(温暖化で増える生物もいる;見えることの落とし穴 ほか)
第4章 生態系は誰のためにあるのか(存在するだけで影響を与えている;故郷は人によってちがう ほか)

著者等紹介

花里孝幸[ハナザトタカユキ]
1957年東京生まれ。信州大学山岳科学総合研究所教授。理学博士。千葉大学理学部卒。国立環境研究所研究員を経て現職。専門は陸水生態学。特に湖沼の動物プランクトンの生態研究が中心(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りょうみや

21
著者の本3冊目。淡水プランクトンが専門の著者で本書もその割合が多いが生態系全般を話題にしている。普段は軽視されがちな微生物も重視した生物ごとの生存・繁殖戦略、食物連鎖まで生態系というものの面白さと難しさがよくわかる。そして「手付かずの自然」というのも幻想で人間が生きているだけで自然には影響を与えるし、それは人間だけではないし必ずしも悪いことではない。個人的には著者の生態系観は中学校の教科書に含めてほしい内容。2022/05/07

Y田

9
環境に配慮する行為とはどういう事か、生物多様性とは何か、など環境について考える一助になった。「手付かずの自然」が絶対的に善なのか,「(ある特定の動植物が)かわいそう!」「水が濁っているのは悪」みたいな感情と自己満足、イメージだけで考えていなかったか等、、当たり前だけど結局人間も自然、生態系の一部で、どんな風に「環境保護」しようとそれは人間の主観なのであって。環境配慮は勿論必要だと思うけど、(ある行為が微生物群等含めてどう影響するかといった)広く全体を見る視点で考えられる様に知識をつけていきたいと思う。2022/04/27

プラス3

7
環境破壊と呼ばれる行為が、生物多様性を上げることもある。生息数が減った生物がいれば、同じように減る奴もいるし、逆に増える奴だっている。そのとき、「こいつは人間が好む生物だから増やさなきゃ」とか「こいつは人間が嫌う生物だから減っても別にいいや」みたいな考えをするのはどうなの?とのこと。ごもっともです。2013/04/21

トムトム

4
欧米人は人間は神さまに似せて作られた特別なものと考えるから、この本は理解できないと思う。日本人なら全員この考え方で物事をとらえる事ができると思う。人間が感じる・見えるものなんて、世界のほんの一部だってことよ2019/08/04

T坊主

4
1)私達はともすると、自宅の木の葉を食べる幼虫や卵をつぶしたり、蚊やゴギブリをたたいたりしていますが、こういう行為も生態系を壊す行為になるのか考えさせられた。又反捕鯨運動にしても、牛肉生産国から日本等への売り込みも生態系を乱しているのかもしれない。牛を生育する為には確か10倍の飼料を必要とするとか読んだ事があるが。2)誰もが満足する環境はありえない、それは人間にも言える事で、不平不満を出来るだけ言わずに与えられた所で懸命に生きていくしかないのでは。3)競争に強いものはストレスに弱い。そうするとアメリカは?2013/06/07

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