新潮・現代世界の文学<br> 十二の遍歴の物語

新潮・現代世界の文学
十二の遍歴の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105090067
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

内容説明

〈バラの傷〉から流れ出る血。雪の上に続く血の跡。傷口から流れる魂―コロンビアの小さな村にこだわってきた作家が、一転して、バルセロナ、ジュネーヴ、ローマ、パリといったヨーロッパの都市を舞台に、異国の地を訪れたラテンアメリカ人の孤独を、洗練された文体で描き、そのアイデンティティを模索する幻想小説集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

巨峰

81
この方の作品は確か4冊目だと思うのだけど、これまでの南アメリカが舞台の作品とは違いこの作品はラテンアメリカ出身者のヨーロッパでの暮らし・出来事を中心に描いている。そこいらへんで今までにない難しさを感じた。ニュアンス的にどうしてもわからんこともあります。特にカトリック教会が出てくる話はお手上げ。そんな中で恐ろしい嵐を描いた「トラモンターラ」から後ろの4編(「ミセズ・ホーブス」の理不尽な死、「光は水のよう」で光におぼれた子供たち、「雪の上に落ちた…」で異国の街で迷う新妻の夫)がお気に入りです。。2016/08/23

まさむ♪ね

52
どれもこれもが愛しくて秘密の宝箱にそっとしまっておきたくなる、変幻自在のガボさん節が炸裂するとっておきの物語全十二篇。妄想、幻想、空想そして現実が入り乱れ、時間と空間はねじ曲がり、薔薇と光の洪水に襲われる。何もかもがもみくちゃに絡まり合い、強烈な芳香を放ちながら昇華していく。そうしてつむぎだされた物語はすべて極上。官能的といっていいほど濃厚な"語り"がありとあらゆる感覚器官に流れこんできて、わたしという躰を完全に支配してしまった。今夜もガボ妖精はわたしの中でほどよく暴れ回り、心地よい刺戟で満たしてくれる。2016/05/27

サトシ@朝練ファイト

46
重厚なのに読み易く、ある種の示唆に富む作品群。下手な例えだが「ハリス・バーディックの謎」のようにそこから新たな物語が生まれうる気がしてならない。2014/08/15

キジネコ

38
熟成の時期を経て それは芳醇な酒となる。ガルシア・マルケスの寓話は人を酔わせます。12種類の味わいは どこか懐かしく、生々しく、惨たらしく、読む者の感情を逆撫でしつつ、足場を儚くさせてしまう。世界をマルケスというフィルター越しに眺める試みを「百年の孤独」を入り口として踏み出した軽挙を後悔したのはいつの事だったか?聳える、重く硬い扉が一旦開くとソコは一変し、気がつくと幻想に絡め取られ迷宮に遊ぶ自身を見つける。さて皆さん、この酒に酔い痴れましょう~とキジは誘惑します、今なら未だ引き返せますが・・どうします?2013/12/14

三柴ゆよし

25
ラテンアメリカ人の視線を通して語られる、ヨーロッパの日常と非日常の物語。マルケスという人は、ひとつの小説を書き上げるのに膨大な時間を費やすらしい。無論、本書もその例に洩れないのだが、物質としての時間の重みをあまり感じさせない、軽やかな時間が流れる短篇集になっている。堆積する時間というよりも、それはむしろ風化していく時間なのだろう。どの短篇の質も高いが、娘の列聖を待ち続ける男の物語「聖女」、狂気を呼ぶディスコミニュケーション「電話をかけに来ただけなの」、幻想のありかたが美しい「光は水のよう」が気に入った。2012/05/22

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