出版社内容情報
第一次大戦下、憎しみあう大国のはざまで消えかけた相対論を救い出したのは何か? 国家主義に翻弄され苦悩した科学者たちの群像劇。
内容説明
第一次大戦下、憎しみあう大国のはざまで揺れ動いた科学者たちの群像。
目次
戦前の科学の世界
国をまたぐ科学
開戦
孤立を深める
国際的な科学の崩壊
決定的な勝利
塹壕を越えて
宇宙の境界線
相対論への抵抗
革命の天使たち
検証
相対論サーカス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
65
抜群に面白い一冊。第一次大戦下で、科学者がどう振舞ったかがよくわかる。ドイツではハーバーたちが軍に協力し、イギリスではドイツ科学者に対する絶縁宣言。アインシュタインが、科学と政治、そして家族の問題(離婚・不倫)に揺れながら相対論をまとめてゆく姿が描かれる。もう一人の主人公はエディントン。敵国の無名科学者の相対論を紹介し、アフリカでの皆既日食観測までして実証に尽力する。エディントンには、チャンドラセカールを虐めた悪い奴という印象が強いので、すんなりと美談として受け取れないのは、私のひねくれた性格の所為か…。2020/09/19
風に吹かれて
17
①本書における戦争は第一次世界大戦。スイス籍ベルリン在中ユダヤ人で理論物理学者アインシュタインとイギリス人天文学者でクエーカー教徒エディントンらの物語。 理論は実証されなければならない。戦中、国粋主義から科学界は、イギリスはドイツの、ドイツはイギリスの科学を、遮断した。だから相対論がドイツ国外の人々に知られることが稀で、現在と違ってアインシュタインや相対論は世界で知られていなかった。2020/10/12
はまななゆみ
12
第一次戦争前後、ドイツのアインシュタインとイギリスのエディントンとの交流と相対論の確立の過程が興味深い。一方、相対性理論に関する解説がとても分かりやすかったのが思わぬ収穫でした。2020/09/27