新潮・現代世界の文学<br> さようならウサギ〈1〉

新潮・現代世界の文学
さようならウサギ〈1〉

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  • サイズ A5判/ページ数 358p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105001148
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

悠々自適の生活を送る五十代半ばのウサギ。だが、心配の種がないわけではない。心臓の持病。息子ネルソンが麻薬でつくった莫大な借金―絶望的になっている嫁のプルーは、すがるような気持でウサギの胸に…。それを知って妻のジャニスは?四十年にわたって書き継がれてきた超大型小説“メガノヴェル”「ウサギ・シリーズ」四部作完結編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

55
時代を色濃く反映しているウサギシリーズ、4作目は、アメリカ経済の低迷、薬物汚染、家庭崩壊がテーマとなっている。裕福なウサギは店を息子に任せてフロリダで隠居生活ともいえる暮らしをしているが、彼らの見ていないところで、息子ネルソンは問題大あり、彼らの生活の基盤である店も大変なことになっている。これまでの三作品で、父親ハリーのひどさの割にネルソンはまだましに育った方ではないかと思ってきたが、やっぱり、ひずみは彼の中に蓄積されていたということか。彼らの生活は、この先どうなっていくのだろう。2016/10/25

田中

16
レーガン大統領が任期満了しブッシュが大統領に当選。ハリーは引退者の楽園フロリダに住んでいる。相変わらず女好きで、昔のまま子供のように単純な人間だ。嫁ジャニスとの愛憎関係もまえと一緒。息子ネルソンが薬物中毒のようになっているのは深刻な問題だろう。ハリーのような父親だと息子もこうなってしまうのか?それともネルソンが弱い人間になった結果なのか?ハリーが息子の嫁プルーの姿態に向ける視線はエロチック。アメリカ人の感情や思考は、僕には、理解不能な面がある。極めて米国的な夫婦、親子の日常問題の話だろう。でも面白い。 2018/12/20

ヘラジカ

8
個人全訳版で読了。2016/10/15

niki

3
「何ごとにせよ、おもしろいと思うことが少なくなっていることは、時がもたらすもっとも悲しい喪失感なのだろう」 四部作の4作目の上巻。1作目で26歳だったウサギは56歳。 高校の頃バスケットボールでスター選手だったウサギ。2作目までは共感できる人物だったけれど、3作目からは金があり俗世間にまみれた男になりました。 それでも本作では孫と上手にコミュニケーションを取り、息子に対して正しい判断をする。妻のジャニスは相変わらず抜けていて絶望的に息子に甘い。軽くシニカルで笑える筆致だけれど、重く深刻な内容です。2024/01/20

takeakisky

0
なんでこんな本読んでいるんだろうという気分の時間と充実してしっくりくる醍醐味とが6:4くらいの配合。といって、刈り込んでしまったら良さを殺してしまうんだろうな。ジャニスとネルソンの対話、サンフィッシュ、ブラッドフォードペア、チャーリーとのランチ、ヨーロッパブナとスプリンガー邸をめぐる回想。そうそう、エジソン記念館にジャングルガーデン、思い出すエピソードは意外と盛りだくさん。それに、ダライ・ラマ。結構楽しく読んだらしい。さて、残る下巻で長かったウサギとの付き合いも、とうとう終わり。2022/05/10

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