内容説明
誰も知らない夏彦が、ここにいる。父・夏彦のもう一つの人生。
目次
第1章 わしゃわずろうてな
第2章 「戦前」という時代
第3章 「室内」40年
第4章 「伊吾」
第5章 意外で愉快な交遊録
第6章 生きている人と死んだ人
第7章 理解なき妻
第8章 日常茶飯事
第9章 恋に似たもの
終章 人の一生
著者等紹介
山本伊吾[ヤマモトイゴ]
1946年、山本夏彦の長男として生まれる。1970年、新潮社入社。週刊新潮編集部、FOCUS編集部を経て、1998年、同編集長
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感想・レビュー
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奥澤啓
40
山本夏彦は平成十四年に逝った。死後、五十冊あまりの手帳が発見された。若き日の文筆家をめざしての文章修行。若き時、何度か自殺を試みたと生前書いている。性欲や女性に対しての憤悶であったろうと想像するが日記からはわからぬ。けっして語らなかった祖父のなりわい。それは何か。羨ましいほどの華やかな交友関係。翁は壮年期以降、女性にもてたと私は想像していたがはたしてあたっていた。夏彦中毒患者は数知れずいたのだ。晩年も恋をしていたことが知れる。十歳の時の作文に仰天する。山本夏彦は世界に誇るべき現代日本のモラリストである。2015/01/09
たなかはん
5
山本夏彦が遺した50冊の手帳に書かれた日記を、雑誌FOCUSの編集長だった息子さんがまとめた作品。読むと奥さんが亡くなったあとに老いらくの恋を死ぬ間際までしていた事がわかるが、自分が死んだ後に晒されるのは、自分には恥ずかしい。だから、そう言うことは日記に書かないだろう。しかし、この「夏彦」と言う名前、いい名前だなとずっと思っている。2020/01/09
まやま
0
雑誌「室内」の購読をしばらく止めていたら、いつの間にか夏彦氏が亡くなって「室内」も休刊していた。夏彦氏が残した手帳をもとに振り返る50年。隠された想いを覗くようで、少し哀しい。2014/11/28
あんく
0
山本夏彦のコラムは、週刊誌で何度か見ているものの、ほとんど記憶に残っていないし、よく理解できなかったけれど、ごくごく短い言葉でのメモ書きはおもしろかった。食べ物のことや、人との出会い。一言ずつでも積みかさねれば人生になるのだなと実感。交友関係を見ると、右寄りなにおいもするけれど、それとおもしろみとはまた別物。2012/03/24