内容説明
過激派潜入の任務を果たした民雄は、念願の制服警官となる。勤務は、父と同じ谷中の天王寺駐在所。折にふれ、胸に浮かんでくる父の死の謎。迷宮入りになった二つの事件。遺されたのは、十冊の手帳と、錆びの浮いたホイッスル。真相を掴みかけた民雄に、銃口が向けられる…。殉職、二階級特進。そして、三代目警視庁警察官、和也もまた特命を受ける。疑惑の剛腕刑事加賀谷との緊迫した捜査、追込み、取引、裏切り、摘発。半世紀を経て、和也が辿りついた祖父と父の、死の真実とは―。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年北海道生まれ。自動車メーカー勤務を経て、79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞する。歴史小説も手がけ、2002年『武揚伝』で新田次郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そのぼん
69
長かった・・・。第二部の息子の代の話の続きから始まり、第三部ではさらにその息子が刑事を引き継ぐものとなっていました。事件も去ることながら、壮大な戦後日本の歴史を読んでいるようで、面白かったです。例の事件の真相はやはりといった感じでした。2013/08/03
クリママ
53
赤軍への潜入捜査、警察庁、警視庁内の裏金の摘発、その時々の世情を象徴するような事件とともに淡々と語られる物語。警察官3代を通して明かされる事件の真相は、その謎を解くことが目的ではなく、良くも悪くも警察官というものがどのようなものであるのかを示唆している。警官の血とは、警察官の3代に繋がる血ではなく、「白と黒の狭間にいる」全ての警察官の血なのだと思った。2017/06/14
紫綺
52
文庫本にて読了。半世紀を経て、和也が辿りついた祖父と父の死の真実。正義とは何か、警官とは…。警察官三代の運命を描く大河小説。2023/11/05
藤枝梅安
52
上巻の感想に「その中を生きてきた人々の心の傷が描かれており」と書いた。下巻では登場人物たちの心の傷が次々と明らかにされ、読んでいて切なくなる。昭和から平成への時代の流れ、それに伴う生活の変化、犯罪の変化を描きつつ、筆者は組織と個人という問題、クロとシロの境界線上を綱渡りする警察官達の苦悩を読者に突きつけてくる。◆天王寺駐在所勤務となった民雄は妻と二人の子どもとともに駐在所に引っ越してくる。民雄の父・清二を知っている町の人々は民雄を歓迎してくれる。人々との会話で、父の死に関する疑問が民雄の胸に蘇ってくる。2010/11/13
RIN
48
警官三代。代を重ねるごとに、「血」も濃くなっていく気がする。清二と民雄は「警官小説」だったが、下巻の和也の章では「警察小説」になってきたというスタイルだが、実際のところ、これは、「警官の倫理観、正義漢を問い直す」というテーマの小説なんだろう。三代それぞれ世相の影響を強烈に受けているし、おそらく犯罪の種類も軽重も時代によって左右されるということなのだろう。「警官は境界線上に立っている」という和也の言葉に納得。読ませる小説だった。続編『警官の条件』は期待に応えてくれるかな?2012/01/22