内容説明
死を恐れるすべての人にささげる。臨死体験記録や宗教体験から紡ぎだされた究極の物語。
著者等紹介
玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956年、福島県三春町生まれ。慶応義塾大学中国文学科卒。様々な仕事を経験した後、京都、天龍寺専門道場にて修行。現在は臨済宗妙心寺派、福聚寺副住職。デビュー作「水の舳先」が第一二四回芥川賞候補となり、2001年、「中陰の花」で第一二五回芥川賞を受賞した
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感想・レビュー
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p.ntsk
34
死に至る病の床にあって変化していく意識。人生の様々な瞬間が今起こっているかのように蘇る。過去のことなのか現在なのか時間の流れの感覚がなくなっていく。次第に曖昧になっていくこの世とあの世の境界。臨終間際の意識の変容が違和感なく感じられる。魂の実在や霊魂の不滅を信じられそうな自然な描写。取材もされ自身現役の僧侶である作者ならではの描写にリアリティを感じる。アミターバの光に包まれた旅立ちは無上の安らぎに満ちているようだ。2018/07/30
冬木楼 fuyukirou
15
年老いた女性が末期がんで亡くなるところを淡々と描いたフィクション。だんだん弱っていく体、娘さんの献身的な看護。臨死体験?いや亡くなってからのシーンがノンフィクションをかと思えるほどリアル。 お葬式の場面で協導師の慈雲さんの唱えた香語がまた良かった。こういう穏やかな最期がいいなあとしみじみ。2018/02/10
とももん
6
死ぬ過程でどのような現象になるかを描いた内容。不思議な光景ですねぇ。本当にこんな感じなのかなあ。やはり、死んでしまうと 楽になれる という考え方なのかなあ。2018/01/21
100分
5
『死』の瞬間を小説にしたらこんな感じなんだろうなぁ。あたかも臨死体験したような、しかも死を美化するような、美しい小説でした マル2010/10/16
pinoka
5
こちらからあちらへ移る際の描写が、はいここ!みたいなくっきりした描写がなかったり、「煩悩にとらわれない自由な頭」の描かれ方だったりがとてもリアル。なんというか、「いずれ行く道のモデルケース」を見せてもらった気がしました。2010/08/24