内容説明
ブエノスアイレスの教会に彗星のごとく出現した謎の天才オルガニストとは?それは9年前、自動車事故で右半身の自由を奪われたままニュルンベルクの病院から姿を消した青年が、奇跡的によみがえった姿なのか…。そして、彼の演奏を真っ向から否定する盲目の老オルガニストの運命は?バッハの音楽が事件解決の鍵を握るバロック・ミステリー。第10回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まるほ
26
【再読】約20年前に初読。このたび久々に思い出し再読してみた。▼バッハのオルガン演奏の大家であるラインベルガー教授。その弟子で将来を嘱望されるヨーゼフ。しかしヨーゼフに予期せぬ不幸が襲う。南米に突如現れた謎のオルガニスト、ライニヒ。ラインベルガー教授が突如爆発に巻き込まれ死去する。▼バッハのオルガン曲をベースに、音楽の神髄を究めんとする執念、狂気を描く。音楽を究極に目指す者が最後に行きつく結論とは…。▼壮絶なファンタジー。読後感は良。あまり知られていない作品であるが、読みごたえあり。おすすめです。2019/10/07
みこと
8
壮絶としかいえないオルガニストの物語。音楽とは、演奏とは、と考えさせられる。バイブルのように何度も読んでしまう一冊。 文庫買いたいけど表紙がイヤ(笑)
ホレイシア
6
音楽のためにここまでできるか、という怖さですな。一発でハマりました。2008/01/29
那由多
4
事故で演奏ができなくなった、オルガン奏者。壮絶さに夢中になった。
バジルの葉っぱ
4
自分も楽器を弾くので、考えさせられることは多かった。感情、肉体、音楽による自己表現等。楽譜にかいてある音符をすべて完璧に弾くことで表現できるものが果たして至高といえるかどうか。終わりまで読みすすめるうち、中程に書かれていた、ラインベルガー教授が悪魔を探すにはどうするか知っているかについて「神に似た者を探すのだ。神の似姿として完璧に近く、しかも神でないも者、それこそが悪魔なんだ」という言葉が、重みを増した。(交通事故や爆死の描写がちょっと私にはきつすぎて気分がわるくなってしまった。)2018/01/11
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