内容説明
1970年、田宮高麿ら赤軍派九人は日航機「よど号」を乗っ取り、北朝鮮へと亡命した。以後、彼らはどのように生きたのか。ハイジャック計画、金日成との謁見、思想教育の日々、「領導芸術」という恐怖の洗脳、日本人革命村の存在、拉致活動の全貌、日本人妻獲得作戦、日本への潜入…理想を捨て、仲間を裏切り、全世界に及んだ彼らの秘密工作の全貌を、第一線のジャーナリストが解明した超弩級の問題作。
目次
名曲喫茶
空賊
偽装空港
闇への亡命
平壌
思想改造
金の卵
秘密の招待状
潜入渡航
妻たちの北朝鮮〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
45
1970年、飛行機をハイジャックして北朝鮮に渡った赤軍派の若者9名のその後を丹念に取材。この本が出たのは1998年で拉致問題が騒がれるちょっと前?ですが、そういった時代背景をふまえて今読むと、こりゃあめっぽう面白れえや! ある意味無邪気な若者たちがカルト国家に洗脳されてく様が! 力の入ったノンフですが、所々に再現映像のような、おまえ見てたんか?的な描写があるのもご愛嬌。 よど号事件って実はよく知らなかったので、もう、ビックリ仰天のオンパレードでした! 当時と今との北朝鮮感の違いたるや!2017/09/16
matsu04
28
高沢氏の「よど号」問題をめぐる集大成の書(再読)。氏の取材力・調査能力(あるいは想像力、もしくは妄想?)には唸らされてしまう。「よど号」グループ6人は今現在も北朝鮮の地にいる(おそらく)訳であるが、隠された真実の全てが明らかとなる日は果たしてやって来るのだろうか?2016/06/23
スウィーニー校長
10
★★★★☆ よど号ハイジャック犯たちが北朝鮮へ渡航し、見事に主体思想に洗脳され、日本人拉致等の工作に関わっていた。(関わったというより、日本人拉致の原因となった) 拉致も、日本人が日本人を貶める構図だったのか・・・。 本書の読みごたえは凄いのだが、嘘ばかりのよど号犯の話から、どうやって本書が書けたのか?出典は本当にあるのか?どこまで信用できるのか?という疑問が湧く。2019/06/23
ayyasui1985
9
事件をめぐる巡礼の旅 北京、延吉、長春、モスクワ、ロンドン、コペンハーゲン、マドリッド、パリ、ウィーン、ベオグラード、サラエボ、スプリット、ザグレブ、プカレスト、バンコク を踏まえた取材の集大成とのことでかなりヘビーな一冊だった。こんなに多くのまちが関係してることに驚かされた。振り回された家族の方達の気持ちを考えると辛い。 2017/11/01
猫草
5
よど号ハイジャック犯の北朝鮮での秘密作戦の数々と困難な取材を成し遂げたジャーナリスト魂に圧倒された。世界同時革命を夢見たハイジャック犯たちが自己批判や総括を繰り返し北朝鮮の思想にはまったのは、自己保身のためなのか、本当に洗脳されたのか?そのどちらも拒んだ故の消された二人。日本人妻獲得作戦。彼らと拉致被害者との関連。驚きの連続だった。しかしまだまだ謎のまま現実は続いている。2011/01/10