出版社内容情報
南洋の島に残る謎の砂絵。その伝説から封印されていた日本人の欲望と情念が甦る。明治、戦中、平成を往還して描く叙事詩ミステリー。
南島の洞窟に、歴史の闇が眠っていた――壮大なスケールで描く叙事詩ミステリー! 南太平洋の王国イリアキに残る謎の砂絵「金の汗」。世界の行く末を告げるというその伝説が解明された時、かつて跋扈した日本人の欲望と情念が甦る。明治末期に移民として辿り着いた鉱夫。戦時中に軍の機密を帯びて訪れた特攻隊兵士。彼らは、この地に何を封印したのか? 三つの時代を往還しながら、物語の陶酔に誘う南洋小説の傑作!
内容説明
南太平洋の王国・イリアキに伝わる、予言の砂絵「金の汗」。そこにはかつて跋扈した日本人の欲望と情念が隠されていた。明治末期に移民として辿り着いた鉱夫。戦時中に軍の機密を帯びて訪れた特攻隊兵士。彼らはこの地に何を遺したのか?三つの時代を往還しながら物語の陶酔に誘う南洋小説の傑作。
著者等紹介
坂東眞砂子[バンドウマサコ]
高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築とインテリアデザインを学ぶ。1996年『桜雨』で第3回島清恋愛文学賞、97年『山妣』で第116回直木賞、2002年『曼荼羅道』で第15回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんさき そのこ
14
ニューカレドニアの島が舞台。大戦前の日本からの移民の竹松、大戦の終わり頃の日本兵の陸郎、そして3.11後の現在の美郷。三つの物語が並列しながら進む。それぞれの物語をつなぎ合わせていくと、島の言い伝えの謎が解き明かされていくミステリー風味!後半かなり盛り上がる。ラストは確かに拍子抜け。これも作者の意図かなと思った。あえてぼやかすことで、明日は掌の中にある、というメッセージが読み手に強く響いてくる。福島原発との絡みは多少未消化にも感じるが、読み応えある作品だった。2014/05/25
書斎六尺
13
南太平洋の王国イリアキにて現代と他の2つの異なる時代、即ち明治末期と大戦中の物語が夫々進行していくが、一体どこに向かって行くのか見えず最初はもどかしい。しかし過去の2つの物語が次第に交わり、この物語の目的地が見え始める。戦時中の日本軍兵士が絡み2つの過去が現代に繋がると、この地に伝えられている予言と砂絵の謎が明らかになりこの物語の面白さが際立ってくる。 ここで起きた全ての事は現実だったのか或いはこの地で飲まれる神経に作用する飲み物「カバ」の見せた夢なのか、物語の締め括り方が魅力的だ。2013/04/12
tama
12
図書館本 先日の新聞に、好きな作家の篠田節子さんがこの人を取り上げていたから。今年の一月に亡くなってるんだ~(合掌)。出版された最後の作品かな?初めて読んだのだが「すっ」と物語に入り込めました。シーン転換のリズムが私の好みに合ってて読んで疲れない。プロットの結びつきとシーン転換速度がラストに向かって上がってゆく感じがいいです!投入された食材は余すことなく調理されていました。大変面白かった。何よりこれで暫くは作家選びに悩まないで済む。2014/05/04
mari
7
あら。。。終わりなの?という感じでした。坂東さんはやはり日本国成立~大正時代ぐらいの背景の物語が個人的には好みです。ヨーロッパモノとか南国モノはイマイチ話に入り込めません。2013/09/22
HH2020
7
◎です。まず表紙の絵に触れたい。奄美の天才画家田中一村だ。これほど南海の濃密な空気を醸し出す、本書の内容にぴったりの絵はないだろう。この点だけでも◎。構成は明治時代後半と戦時中、そして現在の3つがいったりきたりする。初めは場面が頻繁に変わるので頭の切り替えが追いつかなかった。やがてその関連が見えてきて一気に引きずり込まれる。そして迎えるラストが・・・。これって物語終わってないよね?これだけの物語を紡いできたのにもったいないことだ。最後の1%は不満。これを除く99%には満足。2013/07/12