月狂ひ

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月狂ひ

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  • サイズ B6判/ページ数 350p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104098040
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

冴え冴えとした月光の射し込む夜半の診察室。消毒薬の匂いがたちこめるベッド。視線を上げた幼い私が眼にした二つの影。母の倫ならぬ恋の目撃者は、自らもその人生の秋に狂おしい恋に堕ちていった―。縊死という悲しい手段で不倫にピリオドを打った母の最期の姿を眼に焼きつけたまま私は身悶えする。月の狂気を纏ったこの恋を、一体どうしたらいい。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

318
これほど読者を選ぶ作品も珍しいだろう。「恋に理由はいらない。自らの恋を分析し、説明し続けているうちに、自分で仕掛けた罠に嵌っていく」。作中で主人公、彼女の母、そして並列で語られる文語体耽溺小説の主人公、それぞれ恋に絡めとられて、狂わせられていく。鎌倉の隠れ家での逢瀬の情熱的なことよ。やはり恋愛には、障害がないとね…(この場合はいわゆるW不倫)それにしても、彼女の恋愛相手もやはり建築家。森瑶子さんの時代からめんめんと続く、色っぽい職業の代表格、ですな。2018/06/25

きさらぎ

14
主人公千津と柊介、その母親と恋人、瑞穂著の『月狂ひ』の中の門脇と峯子、3組の女たちの話が時代をこえて同時に語られる。ろくに知らない相手にひと目で恋をすることがある。あと1年遅くてもあと1年早くてもそうはならなかったかもしれない。絶妙な出会い。月の光を浴びていると不思議な気分になる。嘘を重ね嘘を繰り返して続ける逢瀬、それが面倒な人は初めから恋などしないものなのだ。愚かしくも生真面目な千津に自分を重ね合わせ、1年後の再会に期待していたのだが…残念だけどきれいな終わり方。不確実な1年を私は待てるだろうか。2017/03/29

桧山

3
1P目から、直接的には書いてないのに不倫だと判った。凄いなぁ。小池真理子は昔よく読んでたんですが、今回はあんまり響かなかった。私の好みが変わったのかも。でも、人物の心理が最初と最後で大して変わってない気がする。不倫小説はずっと読みたかったんだけど、ガッツリ不倫でないのもなぁ。作中作も文体変えて書いて欲しかった。2012/04/20

こゆきんぐ

3
図書館で完読。ストーリーが主人公と主人公が担当した本のストーリーと交錯して進む。さすが小池真理子さん!恋愛っていくつになってもドキドキするもんです。自分の経験を思い出されます。

山内正

2
胸踊らし待つ時間、後二時間一時間と過ぎていく事よりいいと 五十をとっくに過ぎた女ばかりの観光客が喋り笑い合う この女達は恋はしないのか 子を作り働き続けて恋はしないと決めているのか 一人だけ気品が漂う少し寂しげな女性が 彼を横に立たせてみる、抱きたくなるだろうか恋をするだろうか 私の母は人に恋して苦しみ自殺した 私には母の血が流れている 怒りに似た烈しさが 一年合わずに連絡〜取り合わずに わたしが言った 月の狂ひと短編を取り上げ作家畑田に 作家が死に著作権がと 継承者に会った 瞬間全てを賭けようと思った 2024/01/16

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