内容説明
“元祖バブル”の安土桃山時代は、枯淡あり絢爛あり妙なものあり。ジャズの聴こえる水墨画を残した天才もいた。彼らには、失われたセンスと矜持があった。日本および日本人を考える批評のライフ・ワーク。
目次
スペクタクルなもの―「日光東照宮」
絢爛たるもの―「能装束」
遊んでいるようなもの―「変り兜」
身分の低かったもの―「辻が花小袖」
女のもの―「高台寺蒔絵」
カッコいいもの―「泰西王侯騎馬図屏風」
安土桃山時代的なもの―狩野永徳筆「唐獅子図屏風」
美しいもの―長谷川等伯筆「楓図襖」と長谷川久蔵筆「桜図襖」
ジャズが聞こえるもの―長谷川等伯筆「松林図屏風」
空間を作るものの変遷―狩野探幽筆「二条城二の丸御殿障壁画」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
80
安土桃山時代~江戸時代初期の美術。日光東照宮のスペクタクル、能装束の絢爛さ、変り兜の遊び、辻が花小袖の染め物、高台寺蒔絵の女のもの、泰西王侯騎馬図屏風のカッコいいものから、狩野永徳・唐獅子図屏風と長谷川等伯・楓図襖なのである。つまり室町時代に床の間ができ装飾という文化から「いろいろなものがある」時代に至る絢爛豪華なエネルギーが横溢したのが安土桃山文化なのだ。その様式美が完成されたのが江戸初期である。「妄想豊かなロマンチスト」と自称する著者の正確な喩えはその時代の人になって対象を見ているからだと思う。2021/02/25
小倉あずき
2
橋本治はこの時代が大好きで、この時代の「うつくしいもの」を語りたいが故にこのシリーズを手掛けたのかと思われる。日本人がかつて持っていた美にたいする熱量とセンスを失ってしまったことに対する哀しみがひたひたと打ち寄せてくる。さて、次号以降はどのように美を語るのか。それもまた楽しみ。2019/06/05
Nekotch
1
図書館本。「おしゃれとは、戦いたい気分なのである。」なんとそれ。ほんこれ。おしゃれって武装なんだよな。人に会わなくなって着飾る必要がなくなったんだけれども、それをしないとなんだか気が抜けてメリハリがなくなってしまうもの。戦闘モードでいることが自分を走らせてくれるのだ。兜をかぶっていた時代からどんぶりやしゃちほこで個性を出しすぎる人々。多様性の時代は今に始まったわけではないのか!2021/09/15
ふーちゃん
1
これおもしろーい。集めようかなあ。2019/03/26
mononofu
0
毎日ちょっとずつ読むとなんだかとってもいい感じ。個人的には高台院の章が好み。美術館に行きたくなる!2013/04/10