小説の誕生

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  • サイズ B6判/ページ数 475p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103982067
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C0095

内容説明

小説にしか、できないことがある。小説について、行き着く先もわからないまま考えつづけるうち、「小説論」はどんどん「小説」へと変容していった。「小説論」とは思考の本質において、評論ではなく「小説」なのだ。小説について、もっともっと、考えたい人のために。大好評『小説の自由』につづく、待望の第二弾。

目次

第二期のために書きとめて壁にピンで止めたメモのようなもの
小説と書き手の関係
現代性、同時代性とはどういうことか
外にある世界と自分の内にあること、など
時間と肉体の接続
私の延長は私のようなかたちをしていない
小説を離れてリアルなこと
現実とリアリティ
私の延長
「われわれは生成しつつあるものを表現するための言語を持っていない」
人間の姿をした思考
人間の意図をこえたもの
力と光の波のように

著者等紹介

保坂和志[ホサカカズシ]
1956年、山梨県生まれ。鎌倉で育つ。早稲田大学政経学部卒業。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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踊る猫

22
ニーチェや小島信夫、ミシェル・レリスなどを媒介に彼の思考は冴え渡る。それはしかし空理空論、言葉遊びの類ではなくて彼の「身体」と密接に結びついた骨太の思考であることに震撼する。ただ、彼の思考は子どもっぽいところがある。そして、子どもがしばしばそうであるように(?)彼の思考も外部に対する苛立ちとして現れるところがある。そこを自分に対するツッコミを入れる読者を設定することで乗り越えているように思われる。保坂和志の小説の会話の活きの良さはこうした、自分を客観視できる(できてない時もあるが……)視点があるからなのか2020/11/08

ぽち

12
とてもたくさんのことが書き連ねられていて、それよりもはるかにたくさんのことを著者が考えて続けてい(る)たということが流れ込んでくる、わたしが神学と哲学に疎いこともあり(こないだ文学に疎いとも言っていたのだが)前作のアウグスティヌスに続いてニーチェ―クロソフスキーを中心に書かれる終わりの数章は読むのに結構時間がかかったのだけどあらかじめそれはそうだよ、と前書きで言っておいてくれてる。本書最終章最終節で唐突に趣きが変わったと感じた、後書きの小島信夫さんへの言葉とそれは、どうしても書かなければという想い、2021/06/18

やまはるか

7
再読 主にカフカ、ベケット、ニーチェ、ミシェル・レリス、小島信夫について書かれている。中でも小島信夫は別格で、「菅野満子の手紙」と「寓話」を凄いと言っている。「寓話」の私家版を出すことが紹介されていて初読の時に購入して三分の一ほど読んで投げていた。今も氏のホームページに載っていて4000円で頒布しているようだ。本書を読んでレリス日記も入手したのだったが、氏ほどには面白く読めなかった。何とか「寓話」は面白いと思って読みたい。作中人物にイメージも輪郭も筋らしい筋もないらしい。なら見るようにして読めばいいのか。2020/06/02

げんなり

3
著者の作品、これでようやく二冊目。いまだに小説は読んでないのだけれど、小説に対しての考え方にはすごく頷けるところがあって、だからこの本も満足して読み終える。あくまでも軽く、一見とりとめのないように綴られていく文章なんだけど、ま、本当はいろんな計算もあるんだろうし、でなければ途中で自分の意見を訂正したりもしないわけで、そういうふうに読んでいくともうこれは確かに小説のようになっていくのだ。 全然違うけど、ヴァリスを思い出した。もしかしたら何かが重なっているのかも。いないのかも。2023/02/20

kentaro mori

3
再読、再再読に耐える力強さ。小説は、読んでいるその瞬間に生成される。2019/02/28

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