出版社内容情報
現役刑事による殺人事件が発生。有罪率99.9%に挑む若き女弁護士は真実に辿り着けるのか。構想17年の新たな代表作、降臨。
内容説明
ある事情から刑事弁護に使命感を抱く持月凜子が弁護を受けた案件は、埼玉県警の女性警察官・垂水涼香が起こしたホスト殺害事件。凜子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句の果て、弁護士解任を通告されてしまう。一方、西は事件の真相に辿り着きつつあった。そして最後に現れた究極の証人とは―。構想17年。徹底的な取材の元に炙り出される、日本の司法制度の問題とは…。
著者等紹介
薬丸岳[ヤクマルガク]
1969年兵庫県明石市生まれ。駒澤大学高等学校卒業。2005年、『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。多数の作品を意欲的に発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
354
薬丸 岳は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 構想17年だけあり、骨太で慟哭の法廷劇、読み応えがありました。今年の総合BEST20候補、国内ミステリBEST10候補です。 但し、タイトルがベタでいけません(笑) https://www.shinchosha.co.jp/book/354451/2022/04/26
パトラッシュ
310
「嘘」が主題のリーガルミステリ。ホスト殺害容疑で起訴された女性が現職の警察官でありながら不審な供述を繰り返すのに、刑を軽減するための嘘とは異なる偽りを感じた弁護士コンビが足で稼ぐ独自捜査を重ね、嘘をつかねばならなかった母として女としての哀しい事実を突き止める。捜査だけでなく罪を犯す側の心理を描き続けてきた作者が、弁護士のひとりが元刑事との設定で双方をドッキングさせ、嘘に隠された心の歪みや狂気を裁判で明らかにしていくプロセスが圧巻。長すぎると思う向きもあろうが、納得できるドラマのために必要な長さだったのだ。2022/11/16
ウッディ
220
女性警察官・涼香のホスト殺人事件の弁護を担当することになった新米弁護士の凛子と元刑事の弁護士の西。辻褄の合わない供述をする涼香に対し、二人は真実を明らかにし、彼女が守ろうとしたものを知る。大好物の法廷ミステリーは読みごたえがあったが、わが子の死の原因を作った犯人を見つけ出すために取った違法捜査と彼女が自分の罪と引き換えにして守ろうとした理由は、理解できなかった。弁護士の仕事とは、依頼人の利益を守る事なのか、真実を明らかにし正当な裁きを受けさせるものなのか、考えさせれらる一冊でした。2022/12/20
いつでも母さん
214
はぁ・・構想17年。とある薬丸さんの新作は面白かった。とにかく面白かったとしか言えない。分厚いけれど途中で止められないのだ。事件の背景、登場人物の心情に読み応えがあって最後まで読ませるのだ。派手さはない。一歩進んで二歩下がったりもする。じわりじわり、二人の弁護士・持月凛子と西大輔が真相に迫るのを、一緒になって同じ時間を共有した感じがする。凛子と西の抱えてる事すら、この先どう昇華するのか知りたくなるのは私だけではないはずだ。この2人の続編を希望したい。お薦めです。2022/04/23
修一郎
196
何かを守るために嘘をついている被告人の真相を一枚一枚丁寧に明らかにしていく弁護人の姿は読み応えがあった。読む方としては刑事事件の弁護だと犯罪を犯した側に共感しにくく感情移入しにくいものだけどそこらへんはうまく翻弄されましたよ。異色な経歴の弁護人の設定と言いそこら辺の匙加減はさすがの薬丸岳さんの文章だ。それは判断ミスとは言わんだろという展開もままあったけどもまぁ概ねスルーできました。長かったけど面白かった。2023/01/24