出版社内容情報
奇譚(きたん)とは、不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか,あなたの近くで起こっているかもしれない物語・・。書き下ろしを含む待望の短編集。
内容説明
五つの最新小説。不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
163
収録されている短編『ハナレイ・ベイ』が映像化とのコトで、手にとりました。やはり村上春樹さんは長編ももちろん素晴らしいのですが、短編もとてもステキだなと。タイトルの'奇憚'とは【不思議な、あやしい、ありそうにない話】で、決してホラーな感じではなく、ファンタジーテイストな感じで読めるのが良かったです。読んでいてどの作品もそれぞれに独特な'不思議感'が味わえるコトができ、読後感も悪くなかったです。『ハナレイ・ベイ』を改めて読むと雰囲気がとてもステキな作品でした。実写で仕上がりがどうなるのか、とても楽しみです。2018/10/27
mint☆
148
「品川猿」が読みたくなって再読。その「品川猿」と「偶然の旅人」以外は全く記憶がなく新鮮な気持ちで読んだ。捉え所のない不思議な物語たち。だけどざわざわするような話ではなく現実と不思議な世界の境界線が曖昧で、もしかしたら知らないだけであるかもと思わせてくれる感じ。村上さんの文章は読んでいて心地良い。出版された当時に読んだけど、たぶんその時より面白く感じた。2021/06/30
藤月はな(灯れ松明の火)
109
村上春樹の短編に挑戦、4冊目。日本人名が入っていてもスンナリ、読めた!よし、良いぞ!「どこであれそれが見つかりそうな場所で」は『幽霊たち』や『燃えつきた地図』を思い出した。どこにでもない場所に「品川猿」は自分が向き合ってこなかった真実に心構えもなく、向き合ってしまう事程、辛いことはない。しかし、向き合った事で吹っ切れたり、楽になることもあるのだ。それにしてもいじましい猿に対し、矢鱈、過激な処罰を求める桜田とそれを止めるもそれは規則から外れたくないから感が見え透いてしまう坂木の方が怖かった。2019/05/04
おいしゃん
98
淡々とした短編5作。最後の、名前を思い出せないと思ったら、品川区の下水道に潜む猿が名前を盗んでいた、という「品川猿」が、村上春樹らしい暗喩的かつ、思い切った世界観で楽しめた。2015/09/16
優希
76
静かにたゆたう感覚がある短編集でした。不思議ながら何処かでありそうな物語ばかりでした。東京で静かに暮らす人々の現実の中にある非現実が感じられます。日常に幻想を混ぜ込んだという印象です。不安や悲しみといった喪失感をファンタジックに描いているのが独特ですね。読みやすいのに浸れる作品だと思います。2014/11/07