内容説明
村上春樹、80年代の記念碑的長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
81
30年経ての再読。ハルキ氏作品は骨組みが微かに残っていても中身が全く記憶にないのが特徴?初読の気分。10日間2つの世界を潜り抜けたり、異形に怯えたり?架空空間を旅した。【僕】も【私】は通常男性の性感覚有り余るほど・・【やれやれ】も健在。1984年構想の作品とは思えぬ今日的世界観。海外の方が圧倒的に人気というのがよくわかる~具象性のある苦労、惨事、乗り越えて行く(共感を呼び起こす)精神世界の彷徨は一切描かれていない。今回読み返し、ヴィジュアル感溢れる心象や内省的映像がこんなにも楽しいものかと改めて唸って2023/08/20
キク
65
「羊3部作」の後、「ノルウェー」の前という時期の長編。春樹さんのその後の長編小説の原型になっていて、すごく読みやすい。長女に「で結局、村上春樹の長編はどれから読めばいいの?」と最近訊かれて「世界の終わりか、多崎つくるでいいよ」と答えた。ただ多崎はともかく、世界の終わりは20年くらい読んでなかったので再読してみた。やっぱり面白いな。実は長編で1番好きかも。本当の初期長編なので、やろうとしていることがダイレクトに伝わってくる。「異界(世界の終わり)は深層心理にある」ってここで言い切ってるんだな、と今回気づいた2022/03/18
papako
37
借りて。分厚い本でした。不思議な空気感。世界の終わりとハードボイルドの世界が交互に描かれ、どこに着地するんだろうと思っていたら、まるっと一つの物語でした。シニカルでいかにもなハードボイルドの主人公。理不尽な現実にも淡々と立ち向かう。人生が終わるかもしれないその時でも。面白く読みましたが、やはり煙にまかれるようで、はっきりと言いたいことをつかめませんでした。『悪いことはかさなる、でも必ず終わる』いい言葉です。2014/07/11
rueshё
35
過去の記録を遡って登録。5回目くらいの再読。おもしろい。2008/11/20
Gotoran
35
計算士の「私」の意識が無意識の世界に乗っ取られる『ハード・ボイルドワンダーランド』と影を失い夢読みとなった「僕」が影と決別する『世界の終り』、初めは全く関連のない物語が交互に進行、途中からどんどん交叉していく。冒険活劇の『ハード・・』の結末は悲しげな静けさと穏やかさを持って深層心理的に、『世界の・・』は眠りからの目覚め・・希望に繋がる描写でのエンディング。様々な解釈、想いが巡る、余韻を残した読後感。村上春樹の幻想的なパラレルワールドを満喫。音楽と文学と性描写、喪失感・虚無感も健在。2012/10/27