水神〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 281p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103314189
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

筑後川との戦は神の与えた試練か? 全財産を擲った水涸れ村の五人の庄屋。その叫びは老武士の心を動かし藩に届いたが……。慟哭やまぬ時代小説の最高峰!

内容説明

反乱と無情な抵抗。全てを飲み込む大河との合戦に終止符を打つためには、神への供物が必要なのか―一大事業がはじまった。巨石を運び、水門を築く百姓たち。大河の土手には、工事が失敗したら見せしめに庄屋たちを吊るすための五本の磔柱が立てられた―入魂の書き下ろし千枚、この感動、比するものなし。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

73
水をひくために命をかけた五庄屋の話を書くにあたって、どの辺りから創作されたのだろう。登場人物が魅力的で本当に実在して欲しい人ばかりだ。最後に水門を開ける日、各村から人が集まり、水が流れ出すとそれを知らせる狼煙が次々に上がっていく様子は目に見えるようだった。命を賭した武士は残念だったが、それ以外は話がうまく流れていきすぎで、童話のように感じるところも。『恩讐の彼方に』のように、一大事を成し遂げる時には、人の醜いところもあらわれるものではないか。作家がとても心根の優しい人なのだと思う。2014/01/05

59
素晴らしかった。 堰造りに賛成した村の人も反対した村の人も力を合わせて夫役にあたる姿。水門を開けるその日、次々と狼煙が上がり、待ち望んだ水が龍のごとく流れてくるのを見守る村人たち。人々の歓声と歓喜の声が聞こえてきそうでした。工事に反対した庄屋、藤兵衛との和解のシーンが印象的。「どの庄屋もこれから先のこつば口にするとです。」土地が潤ったらとこの先の村を考えて目を輝かせながら語り合う庄屋たちがうかびました。2016/07/18

だいきょ

45
敬愛する著者だと言うことを差し引いても、最近読んだ中では最も感動した小説です。最終章は涙なしでは読めませんでした。 実在する堰を作る話なので、最後は絶対完成すると言う確信はあったものの、登場人物がみんな生き生きしていて最後まで惹きつけられました。 近いうちに舞台である久留米の大石堰を訪れよう、と決心して本を閉じました。2012/10/03

うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

44
今、生死をかけた一大事業が始まった。成功すれば付近の田畑は潤い、失敗すれば五庄屋は磔にされる。果たして…。庄屋と言えば強欲で百姓泣かせという勝手なイメージがあったのですが、この話に登場した庄屋は本当に百姓のことを考えてくれる良い庄屋でした。そして最後まで彼らのことを気にかけてくれた下奉行の菊竹様。彼が書いた嘆願書には思わず涙しました。希望ある未来を語れることがどれだけ人を明るく、そして強くするのか。教えられた気がします。★★★★2011/07/30

ゆみねこ

43
大きな感動で読了。農閑期の2カ月の間の突貫工事。江南原の百姓にとっての天下分け目の合戦、敵は筑後川の水。敵対した14の村の庄屋も心を一つにして堰の完成も間近の時の悲劇。菊竹源三衛門の心が素晴らしい。大石堰、いつかその地に立って見てみたい。帚木さんの作品の中では一番の作だと思う。2013/01/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/573088
  • ご注意事項

最近チェックした商品