出版社内容情報
論文の数に問われ、膨大な雑用に疲弊し、ポスト争いや「調整」に翻弄される。 ― ひとりの研究者の半生が伝える、才能を磨耗させる理工系大学の実態とは。
内容説明
頼まれると断れず、次々と降りかかる膨大な雑用に疲弊し、ポスト争いや「調整」に翻弄される日々―。成果として論文の数を問われるものの、本業である研究に没頭すること自体がいかに難しいか。元東工大教授が、共に勤務した研究者の半生を通じて明かす、理工系大学の実態。「科学技術立国日本」の裏面史。
目次
“ちょっと変わった”助手
「天才くん」登場
４０００時間のバケモノ
スター誕生
ドンを敵に回す
幸せだった日々
２人の“叔父”と４人の師
東工大への帰還
助教授というポスト
ベルギー留学
うるさい教授
文理融合プロジェクトを立ち上げる
もう、うんざりなんです
生みの苦しみ
革命的プロジェクト
すべて僕に任せてください
病をおして
原子炉停止
トコトンやった
ドン・キホーテのどこが悪い
著者等紹介
今野浩［コンノヒロシ］
１９４０年生まれ。東京大学工学部応用物理学科卒業、スタンフォード大学大学院オペレーションズ・リサーチ学科博士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科教授等を経て、中央大学理工学部経営システム工学科教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ga-ko
15
理系の方は尊敬します。私は数字アレルギーなので。。 白川教授のすごさにも驚きながら読んでいました。2017/07/26
小鈴
10
立読みしたら止まらなくなって買っちゃいました。金融工学に命を賭したモーレツエンジニ・白川浩教授の半生を綴った鎮魂本。4000時間を研究にあて、エレベーターで寝てしまうモーレツ研究者だが、一方で理系特有？の言い回し下手で敵も多い。指導教官に対して研究態度を批判して周囲を驚かした。そんな白川先生を冷静にかつウィットに富みながら描いていくわけだが、本の最後でなぜ彼がそこまで徹底的に研究し、他人を糾弾したのかわかるのだ。理工大学の実態がわかるとともに、著者のクールな文体の影に見える白川教授への愛に涙する。2009/10/31
Riopapa
9
一流の研究者とはこういうものなのか。大学の研究者なんて、好きなことを自分のペースで研究しているものと思っていた。壮大な勘違いだった。2017/08/04
SS
6
ヒラノ先生の語り部としての渾身の力と思いの詰まった作。S教授と理財工学研究センターのモニュメントとそれに捧げるレクイエム。願わくばこの意志が後世に受けつたわらんことを。2014/07/09
ｔｋ
5
在学中に亡くなったわが師の伝記なのです。ちゃんとしなきゃなと思わされます。大学の自治の伝統が、教官を苦しめる逆説をいかに解決すればいいのでしょう。蛇足ですが、白川先生の死により頓挫した、中小企業への直接金融は今にして思えば筋悪ですね。巨大なポートフォリオをもてない個人はモデルリスクを取れません。2009/08/23
